適度な負荷の有酸素運動で
脳の中からリラックス

 今まで紹介した思考法のトレーニングに加え、運動方法や食習慣など日ごろの生活習慣もストレスコントロールには、必要だ。運動方法のポイントは、有酸素運動。ウォーキングやジョギングが代表的だが、重要なのは心拍数だ。

「最大心拍数(220ー自分の年齢)の60~70%を目安に20分以上続けましょう。50代であれば、1分間に125~132くらいの心拍数が目安です。この心拍数で有酸素運動を行うとβ‐エンドルフィンと脳内物質が分泌されます。β‐エンドルフィンは副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる働きがあります。ストレスから解放してくれるのです」

 多忙な日々、運動の時間をなかなかとれないな、と思う人もいるだろうが、運動のように『緊急ではないが重要』なタスクを行えるようにスケジューリングすることこそが大切なのだそうだ。

 食習慣では、できるだけ糖質を減らすことを心がける。

「糖質を摂るとインスリンが分泌されますが、インスリンは交感神経を刺激する作用があります。糖質の摂り過ぎで大量のインスリンが出ると、いらいらや集中力の低下などを引き起こします。また、やる気を出させる神経伝達物質ドーパミンの放出量を下げる働きもあるので、仕事の効率もダウンします。なるべく糖質を減らして、肉や魚介類など良質のたんぱく質やビタミンC、ミネラルを積極的に摂りましょう」

 さらに、気軽にできて自分の性格に合うストレス発散法を見つけることも大切。他人に薦められたものではなく、自分自身が気持ちいい、楽しいと感じられるものを探してみよう。

 これまでの思考法や生活習慣を見直し、ストレスに強くなる心と体のコンディショニングを実践し、さらに健やかで充実した人生を送るとしましょう。

こんなことが思い当れば、ストレスフル!ストレス度セルフチェック
□ 胃がもたれる
胃の働きが低下すると、食べ物の消化、吸収、代謝が行われず生きるためのエネルギー不足に陥ることに。
□ 睡眠不足で朝すっきりしない
夜も交感神経が活発化しているためゆっくり眠れていない状況。睡眠中も心身が休めていないので、ストレスが増加。
□ 大量に汗をかく運動ばかり行っている
ハードなトレーニングばかり続けていると体内に活性酸素が増えて細胞を傷つけ、老化や病気の原因になることも。
□ 部下を叱ることが多い
部下へ期待しすぎがストレスの一因に。部下は「まだ勉強中なのだ」というように発想の転換を。
□ よく愚痴を言ってしまう
愚痴や悪口は、自分の潜在意識に働きかけ、自分自身を悪い方へと導くことに。免疫力を下げることにも。
□ 五感が過敏になっている
いつもは気にならない音や光、人ごみでイライラしたり疲れやすい。
□ 楽しいと思う趣味がない
趣味はストレス発散に有効な手段。自分に合った趣味や、長く続けられそうな楽しみを見つけよう。

 

ドクター紹介
西脇俊二 / にしわきしゅんじ
精神科医。ハタイクリニック院長。弘前大学医学部卒業。1981年国立国際医療センター勤務、国立秩父学園医務課医長などを経て2009年より現職。専門分野は精神療法、代替医療、がん。主な著作に『なぜ一流の人はストレスが溜まらないのか』(PHP研究所)など多数。テレビドラマの医事監修や各メディアでも活躍。

文/嵯峨佳生子 イラストレーション/石山好宏