沖縄金融税制特区が
効果を上げていない理由

 復興特区の議論が始まった。今後の国と地方の関係を考えると、この機会に地方分権のモデルとなるような特区を構築することは、大きな意義がある。地方が自由にお金を使えるような「復興交付金」制度を創設することや、縦割りを排した包括的な規制緩和の具体例が提示されれば、今後の地方分権の具体的モデルとして、全国レベルへの適用が可能となる。

 では、「税制」という分野では、どのような特区が考えられるだろうか。もちろん目的は、震災地域にビジネスを呼び込み経済を活性化するとともに、今後の新たなモデルとなることを目指すことである。

 現在、税制特区としては、沖縄金融税制特区がある。これは、常時従業員数が20名以上である新設法人に対して、法人税減税(35%の課税所得控除、機械装置等の特別償却等)や、法人事業税、不動産取得税、固定資産税の免除などを設けるものである。しかし、この税制の実際の適用件数は一桁と少なく、お世辞にも効果を上げているとは言えないものである。

 その原因は、課税の減免という税制の優遇措置は、当面、利益の出ない企業にとっては効果がないことにある。つまり、税制特区は、利益の出るビジネスや起業を想定したものであるが、実際に利益を出すことは容易ではなく時間がかかるということである。

人的資産を生かす「合同会社」は
なぜ普及しないのか

 そこで、この際、今後のわが国経済活性化のモデルとなるような税制を、特区税制として提示してみたい。それを考えるに当たっては、岩井克人国際基督教大学客員教授の、日経新聞(5月30日朝刊)のインタビューが大きな参考になる。