政府傘下で、原油と天然ガスの開発・生産を行う国内最大手、国際石油開発帝石。ここ数年の原油価格暴落の危機を乗り越え、大型プロジェクトへの投資も一服。今期以降、業績は回復基調となりそうだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)

 良く悪くも、原油価格次第──。それが国際石油開発帝石の業績の基本的な構造だ。原油価格が上がれば、世界各地で開発している原油、天然ガスの販売単価は上昇し、売上高と利益を押し上げる。逆もまたしかりだ。

 例えば、2016年度では原油価格が1ドル上昇すると、当期純利益ベースで29億円の増益要因となる計算だ。

 従って、ここ数年の原油価格の下落は、同社にとっては頭痛の種だった。国際原油価格の一つで、同社が基準とするブレント原油の価格は、16年1月に一時1バレル当たり20ドル台に急落。原因は米国のシェールガスの大増産と、中国や欧州での景気減速による需要減だ。20ドル台は実に12年ぶりの低水準だった。

 国際石油開発帝石はこの影響をもろにかぶった。15年度決算では売上高は前期比13.8%減の1兆0096億円に落ち込んだ。減収に加えて、米ルシウス油田をはじめとする保有油田で減損損失を計上したことから、当期純利益は前期比78.4%減の168億円まで落ち込んだ(図(1))。