先月から試験的に公表が始まった東証住宅価格指数。この住宅価格指数は、アメリカのS&Pケースシラー指数と同様の方法で算出され、不動産・住宅価格動向を知る上で有効だと考えられている(詳しくは、「バブル後、住宅購入のベストタイミングはいつだったのか~ついに始まった『東証住宅価格指数』を読み解く」を参照)。

 その第2回目の公表が5月31日に行われた。日本の東証住宅価格指数も米国の指数も、共に2ヵ月前の取引データを集計し発表する。つまり、今回は3月の数値、震災発生後のデータが初めて公表されたのだ。  

 3月11日に発生した東日本大震災は、首都圏の不動産市場(現在は東京、埼玉、千葉、神奈川のみ指数化)にどれほどの影響を与えたのだろうか。

なぜ千葉県の住宅価格指数は微増したのか

 発表は同日、16:00。その結果は意外なものだった。

 5つの指数のうち3つの指数(首都圏総合、東京都、神奈川県)がほぼ横ばい(-1ポイント未満の動き)。1つ(埼玉県)が微減(といっても1ポイント減)。そして、なんと千葉県は微増となった。 

 マスコミの報道に拠らずとも、業界関係者の誰しもが大きな下落を予測していが、実際はそうではなかった。これは一体、なぜだろうか。

 理由は、この指数の算出方法にある。東証住宅価格指数は、成約した価格をもとに算出するため、不動産価格が下がっていようとも成約に至らなかったものは指数算出に組み込まれない。おそらく、千葉県の指数がわずかながら上昇したのは、震災以後はあまり売買が成立せず、震災以前に確定していた成約ばかりが指数算出に組み込まれたためと考えられる。

 この指数の推移を見ればわかるとおり、首都圏の不動産(住宅)価格は2009年の6月ごろ(ちょうど2年前)に底を打ち、多少の波はあるが、少しずつ上昇していたことがわかる。ちょうどそうした時期、震災に見舞われたのだ。