『∞プチプチ』は、こうして生まれた

 包装材のプチプチって知ってますよね。そう、ついプチプチやっちゃうあれです。

 一般名称は気泡緩衝材。1957年にアメリカの2人のエンジニアが失敗の中から発明しました。最初は(売れない)壁紙として、そして数年間の紆余曲折の後、商品を守る運搬用の緩衝材(*1)として。

 日本でも数社が気泡緩衝材を製造販売しています。『プチプチ』はそのリーダー、川上産業が持つ立派な登録商標なのです。

 これをオモチャにしたのが、バンダイです。

 名前は『∞(ムゲン)プチプチ』。数センチ角のプラスティックに8つのプチを配し、何回でもそのプチプチ感を楽しめる商品です。いや、プチプチ感「だけ」が楽しめる(*2) 、おもしろ商品です。

 バンダイの開発者 高橋晋平さんが身の回りに一杯ある気泡緩衝材を見ていて思いました。誰でもプチプチしたがるなら、存分にやってもらおう、と。

 それから川上産業との二人三脚での開発が始まりました。感触をどうするのか、音はどうするのか、試作品を作っては川上産業側と検討を続けました。何台も何台も…、開発期間がオーバーするほどに。

 2007年9月に発売(*3)された、∞プチプチは、200万台を超える大ヒット商品となりました。

子どもを見ればヒトの本能が見える

 プチプチする、という欲求を再発見したことがこの商品の根幹なワケですが、これは「本能です」と高橋晋平さんは言い切ります。

「ヒトがプチプチしたくなるのは、仕方ないことなのだ」と。感触的本能、と言えるかもしれません。

*1 最初の顧客はIBMだったとか。2人が作ったシールドエア社は、今や世界51ヵ国に拠点を構え従業員2万人弱を擁する大企業へと成長。
*2 正確にはつぶしたときの音も楽しめる。ただし100回に1回は「プチッ」でなく「ぶっ」とか「イヤン」とか「ワンっ」とか言う。ちょっとしたミニゲームも付いている。
*3 当初は8月8日「プチプチの日」に合わせて発売する予定だった。プチプチの日、は川上産業が申請・登録したもの。