ウソをついて退職すると
これまで築いた信用を簡単に失う

 同業他社への転職は経営者に対しての裏切り行為という側面はあるものの、別に違法行為ではありません。基本的に堂々と、退職する理由を述べて転職していくのがいいと思います。

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 今の会社にはない何かが同業他社にあり、それに惹かれるから退職するわけです。社長の怒りは買うかもしれませんが、その理由ははっきり伝えておいたほうがいい。それは筋を通すためであり、ウソをついて辞めるのはお勧めできません。

 当社でも同業他社へ転職した人がいます。彼の転職理由は「マネージャーの仕事がしたいから」でした。当社ではリーダー職までしかないので、大手人材紹介会社でマネージャーになってマネジメントの勉強をしたいと考えたそうです。

 しかし、人材紹介業界で仕事をしていく上でマネジメント力は必要ない。社長になりたいのであればマネジメント力は必要であるが、そうでなければむしろ自分の市場価値を半減させることになりかねないというのが私の意見で、彼とは議論になりました。

 結局、彼は転職していったのですが、それはそれでよかったと思います。結果がどうなるにせよ、彼は筋を通したし、何を求めているかが明確だからです。

 やってはいけないのが周囲にウソをついての同業他社への転職です。これは経営者だけでなく上司や同僚からの怒りを買い、信用を失ってしまいます。

 転職した人の財産は、前の会社で築いた人的なネットワークです。大きな成果を出す転職者は、これを有効に活用しているものです。しかし、ウソをついて辞めたら「あいつはとんでもない奴だ」という評価になって、前職でせっかく築いたネットワークがゼロにリセットされてしまい、転職先でまたゼロからのスタートになります。それは非常にもったいないことです。

 確かに同業他社へ転職することは言いにくいでしょう。しかし転職理由に限らず、仕事において言いにくいことは大事なことが多いものです。それをきちんと言えるかどうかが、ビジネスパーソンの資質として現れるのです。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)