[東京 10日 ロイター] - ソフトバンクグループ<9984.T>の孫正義社長は10日の決算会見で、米通信業界の再編に向けて「これから様々な交渉に入る」と述べ、再編に意欲を示した。

米携帯電話子会社スプリント<S.N>を巡っては、一度は断念した米携帯電話3位のTモバイル<TMUS.O>との合併を実現させるために、ソフトバンクが経営権を手放す可能性も指摘されている。

孫社長は「今回の米国政府の業界再編についてのものの見方は、前回の政権に比べるとはるかに規制緩和、ビジネスの自由度が高まる」と前向きに評価。「様々な可能性について、心を開いて積極的に検討を開始していきたい」と語った。

相手先については「Tモバイルは最も有力な候補先の1つだということは間違いない」としたが、「他とも色々な可能性があるかもしれないので、そこはオープンに検討したい」と強調した。

<ビジョンファンド発表間近>

同社は近く、サウジアラビアなどと共同で、世界規模でテクノロジー分野に投資する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を発足させる。投資資金は1000億ドル(約11兆円)規模で、ソフトバンクのグローバル戦略とサウジの脱原油政策を推進する巨大ファンドとなる。

孫社長は「ビジョンファンドは今からやってくる真のゴールドラッシュに向かうための構えだ」と指摘。発表までは「もう時間の問題だ」と語った。

ただ、ビジョンファンドをめぐっては、ソフトバンクや同社が買収を発表した米投資会社フォートレス・インベストメント<FIG.N>と利益相反のおそれも指摘されている。

孫社長は「100億円以上の新たな投資はビジョンファンド経由となる」ことを明らかにした上で「ソフトバンクが成長のためにグループを増やしていくようなものについては原則としてビジョンファンド経由になることがパートナーとの契約になっている」と語った。  現在、30社近い投資家と話し合いをしているという。  

<スナップディール関連で特損>

2017年3月期連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年比12.9%増の1兆0259億円となった。米スプリントの回復や堅調な国内通信が利益を押し上げた。

ただ、実績はトムソン・ロイターが集計したアナリスト20人の予測平均値1兆1450億円を下回った。

売上高は前年比0.2%増の8兆9010億円だった。前年同期よりも円高水準にある為替レートがスプリントの売上高を目減りさせたが、ヤフー<4689.T>や国内通信でカバーした。

デリバティブ関連損失で2528億円を計上。さらに個別決算でもインドのインターネット通販大手スナップディール関連で1140億円の特別損失を計上したが、連結損益計算書には四半期ごとに公正価値の変動が反映されており、連結業績に与える影響はないという。

スナップディールはライバルのフリップカートや米アマゾン・ドットコム<AMZN.O>の勢力拡大により、苦戦を強いられている。関係者によると、スナップディールはフリップカートへの身売りも検討している。

最終利益は前年比3.0倍の1兆4263億円と、初めて1兆円を突破した。

通期予想は業績に影響を与える未確定な要素が多いとして開示していない。

トムソン・ロイター集計によるアナリスト20人の営業利益予想の平均値は1兆2930億円となっている。

<東芝半導体買収「主役ではない」>

経営再建中の東芝<6502.T>は半導体部門の売却に関して入札を進めており、孫社長と親しい台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業(フォックスコン)<2317.TW>の郭台銘(テリー・ゴウ)会長は米アップル<AAPL.O>なども巻き込んで買収に意欲を示している。

孫社長はソフトバンクが買収に関わる可能性について「(テリー・ゴウ会長から)相談を受けているのは事実だが、(ソフトバンクは)主役ではなくフォックスコンやアップルが中心となって検討する案件だ」と述べ、否定的な考えを示した。

*内容を追加しました。

(志田義寧)