[10日 ロイター] - トランプ大統領が米連邦捜査局(FBI)のコミー長官を9日解任したことで、ロシアによる昨年の大統領選に対する介入や、トランプ陣営との癒着の可能性を調べてきたFBI捜査の今後を危ぶむ声が出ている。

民主党は、長官解任によりFBI捜査が行き詰ることを恐れており、独立捜査を改めて要求。共和党議員からも、上院と下院が行っている調査に影響が出るのではないかとの指摘が出ている。

今後予想される展開は以下の通り。

●現在のFBI捜査は継続

法律専門家によると、コミー長官の解任は、FBIによる米大統領選へのロシアの介入疑惑捜査の中断や終結を必ずしも意味しない。後任の人選が進むあいだにも、コミー氏が任命したキャリア捜査官がFBI捜査の指揮を続ける可能性が高い。

上院と下院の情報特別委員会で平行して進められている調査も同様に継続する可能性が高い。

●司法省や他の省庁、または議会による独立捜査

司法省には犯罪捜査を行う権限がある。一方、他の連邦省庁は、事実確認のための調査を行うことができると南カリフォルニア大のサム・エルマン教授は指摘する。議会も特別委員会を設置したり、議会調査とは別に、(調査を行う)スペシャル・マスターを任命することができるという。

●司法省が、特別検察官を指名

刑事訴追の権限を持つ省庁は司法省だけであるため、司法省から任命された特別検察官による捜査を求める声が民主党から上がっている。

旧制度の特別検察官(special prosecutor)の任命に関する法律は1990年代に失効した。現在は、司法省の規定で、司法長官が連邦政府の外から特別検察官(special counsel)を任命することができる。

ロサンゼルスのロヨラ法科大学院のジャスティン・レビット教授によると、司法長官が特別検察官の提言を無視した場合、同検察官は規定により議会に報告書を提出しなければならない。

司法長官はまた、省規定によらない形で、専門家を雇って特別検察官の職務を行わせることができる。2003年に情報機関の工作員の身分が漏えいされた事件で、こうした形の捜査が行われた。

●司法副長官が特別検察官を指名する可能性

セッションズ司法長官は、2016年の駐米ロシア大使との接触について自身が不正確な証言をしたことを受け、ロシア関連の捜査には関与しないと明言している。代わって副長官のローゼンスタイン氏が特別検察官を指名する可能性が高い。

しかし民主党議員からは、FBI長官解任をトランプ大統領に進言するよう、セッションズ長官がローゼンスタイン副長官に助言したのではないかと疑う声も出ており、非政治的な立場の司法省内の任命者が、特別検察官指名を行うことを要求している。

●特別検察官が指名されても、議会は調査継続

上院共和党では指導部からも、議会による調査が影響を受ける恐れがあるとして、特別検察官の指名に反対している。だが、特別検察官には、議会調査の停止を求める権限はない。

特別検察官による刑事事件としての捜査が始まると、特に証人の証言を得る点で、議会による調査が複雑化する場合がある。だが、特別検察官による捜査はその点、現在進行中のFBIの捜査となんら変わらない。レビット氏は、「特別検察官が任命されても、(議会調査への)影響が減るわけでも増えるわけでもない」と指摘している。