前回、仮設住宅の消火器の問題を取り上げたらさまざまな情報が寄せられた。石巻市や仙台市の仮設住宅も事情は同様のようで、1棟に1本しか設置されておらず、しかも住民は設置場所も知らないという。

 仮設住宅については他にも、熱中症の心配が指摘されているし、雨漏りや結露が酷い、スキマだらけで冬の寒さが心配など、さまざまな問題がある。仮設住宅なのだから贅沢をいうべきではないと思うかもしれないが、では、予算は同じなのに、施工業者によって品質に大きなばらつきがあると聞いたらどうだろう? 仮設住宅といってもアパートレベルで暮らせるところもあれば、物置の中に部屋を作ったレベルのものもあるという。これが同じ予算で作られているということで、これはもう、入居者の運不運の問題ではない。

 同じ予算で高い品質の仮設住宅を提供できる業者になぜ、集中的に発注しないのか? 劣悪な業者になぜ、仕事を出すのか? こんなところにも、復興を妨げる行政の問題が潜んでいるのだが、ともあれ、このように被災地には、東京など他の地域からは目に見えにくい問題が山積みだ。

われわれがまだ理解できていない
被災地のニーズ

 そこで、被災地が抱えている問題と支援ニーズを石巻日日新聞に問い合わせてみた。すると詳細な諸問題をレポートいただいたのだが、その数66項目。まだまだ多大な支援が必要であることが理解できる(以下、同レポートを石巻レポートと呼ぶ)。主だった問題、課題や支援ニーズを抜粋してみよう。

*冠水地域以外の冠水箇所の情報発信
*復興の途中経過、結果が圏域外に知られないことによる観光客減少
*避難者(避難所運営者)の心のケア
*バラエティに富んだジャンルの専門家による相談受け付け訪問活動
*環境悪化によるハエや蚊などの害虫の大量発生
*汚泥処理が進まないので、下水に泥が埋まったままで排水が流れない
*冠水被害による地域の建物の腐食の進行
*仮設住宅への消火器の常備化
*避難所の暑さ対策
*土地利用計画の早期公開
*企業立地用地不足
*雇用創出(大手企業と地域が機能分担した産業振興)
*将来の生活設計が見える制度の導入
*「生きる」ための支援から「生活」のための支援へのシフト
*被災地と炊き出し団体とのミスマッチ(開催場所など)
*校庭、体育館、図工室などが使用できなくなった児童、生徒らへの対応
*子どもたちが安心して遊べる(体を動かせる)場所の確保
*震災によるハンター活動の滞りによる鹿被害

 などなど。

 全てをここで紹介するわけにもいかないが、レポートの全文は>「東北ライジング」のウェブサイトに掲載しているのでぜひご覧いただきたい。