別府市福祉保健部ひと・くらし支援課(2015年当時の社会福祉課を改組改称)の担当課長は、こう語る。

「あのパチンコ等調査は、どうしてもパチンコ店に行ってしまう方に面談し、孤立感や寂しさを知るきっかけになりました。面談しなかったら理解できないままだったと思います。その後、2016年2月に県の指導も受け、さらに良い方向に向かっていると思います」

 調査にも処分にも法的根拠がないまま、25年にわたって調査が続いてしまったことは大いに気になるが、別府市の生活保護行政の「その後」と「いま」は、どうなのだろうか。

パチンコの規制から
訪問調査と信頼関係の重要性へ

別府駅から海に向かうメインストリートの両脇には、巨大なパチンコ店が立ち並んでいる。別府市のパチンコ店はほとんど、このメインストリートと海沿いの国道10号線にある別府市のあちこちに、繁栄や開発から取り残された町並みが残っている。総じて生活コストは高くなく暮らしやすそうだが、パチンコ・カラオケ・飲食以外の大人向け娯楽は見つけにくい感じだ

 別府市のパチンコ等調査に対しては、ネット空間で「風紀委員」と揶揄する意見も見られた。しかし、たとえば中学生の風紀違反の背景は、大人社会への反発・挑発・貧しさ・困難など、結構複雑だ。生活保護で暮らす人々、それも高齢者がパチンコ店に吸い寄せられるときには、さらに複雑な背景があるだろう。

「生活保護制度は、住まいへの訪問活動が重要です。顔を見て、目を見て話すと、やはり違いますから。まずは、そこからです」(別府市・担当課長)

 査察指導員(ケースワーカーの指導監督に当たる係長相当職)も、通算18年間にわたって生活保護ケースワーカー業務に就いていたベテランの立場から、訪問調査の重要さを強調する。

「その方が何か問題・課題を抱えているとき、病気の可能性など、私たちに見えていないところに原因があるのかもしれません。またケースワーカーに対して、良いところを見せて困りごとは隠そうとする方もいらっしゃいます。まず、訪問調査に重点をおいて、信頼関係づくりです」

 今現在、ギャンブルによる浪費で生活が成り立たなくなっている生活保護の人々は、別府市にはいないということだ。過去に大きな問題となっていた競馬・競輪は、業界全体の売上減少に伴い、ギャンブル問題の中心的な存在ではなくなった。

 残るはパチンコ・パチスロだが、こちらも売上減少が続いている。やや長期的に見れば、生活保護とパチンコの問題は、いずれ消滅するのかもしれない。しかし現在も、「パチンコをやってる生活保護の人がいる」という市民からの通報は、ときどきあるということだ。