「10勝1敗でも損する」株式投資で収支トントンにする方法

損と儲けの金額が同じ場合は、
損の悔しさの方が2倍以上大きい

 株式投資をやってきた人の中には、「長い間株をやっているけど、なかなか儲からない。確かに相場の良い時は少し儲かるけれど、結局トータルで見たら損をしている」と感じている人も少なくないだろう。

 私は長年、証券会社で仕事をしてきたが、昔から“株は十勝一敗でも儲からない”ということがよく言われてきた。投資家のみなさんの取引状況を見ていると、確かにそう感じることがよくあった。これは一体どうしてなのだろうか。

 じつは、行動ファイナンスの面から考えてみると、その理由がとてもよく見えてくる。行動ファイナンスとは、2002年にアメリカのプリンストン大学の名誉教授で、認知心理学者のダニエル・カーネマン氏が、ノーベル経済学賞を受賞したことで注目を集めるようになった研究分野のことだ。   

 カーネマン氏がノーベル賞を取った研究は、「プロスペクト理論」と呼ばれるもの。この理論の最も基本となる考え方が「損失回避」だ。