5月10日、ドナルド・トランプ氏が昨年米大統領選に当選して以来、タクシードライバーのカーティス・シーモアさんは移民論争のもう1つの側面を運転席から眺めてきた。写真はカナダのケベック州から見た米国国境。2月撮影(2017年 ロイター/Christinne Muschi)
カナダとの国境近くの街でハイチ系の女性がシーモアさんのタクシーに乗り込んだ。4月撮影(2017年 ロイター/Christinne Muschi)

[プラッツバーグ(ニューヨーク州) 10日 ロイター] - タクシー運転手のカーティス・シーモアさんが電話を受けたのは午前3時30分。カナダ国境まで約40キロの位置にあるニューヨーク州プラッツバーグのグレイハウンドバス停留所で、乗客を1人拾ってほしいと頼まれた。

 バスから降りたったのは、ハンドバッグ2つと、リュックサック、そしてスーツケースを抱えた年配のハイチ系女性だった。紫と黄色の布を頭に巻き、淡い紫の口紅に、金色の大きなイヤリングを付けていた。シーモアさんは女性の荷物を車に積込み、行き先を尋ねた。

「カナダへ」。おぼつかない英語でそう告げた女性は「ノーポリス」と付け加えた。彼女はチロットとのみ名乗った。

ニューヨーク州のバス停でベビーシートに入れられた子どもを渡されたシーモアさん(2017年 ロイター/Christinne Muschi)

 62歳のシーモアさんは、このアップステート・ニューヨーク地区を10年以上にわたって運転してきた。昨年11月の米大統領選ではドナルド・トランプ候補に投票した。理由の1つは、トランプ氏が移民に対して厳しい姿勢を見せていたからだ。

「もう一度選挙があっても彼に投票するだろう」とシーモアさんは言う。「あの頃より複雑な気持ちではあるが」

 トランプ氏の当選以来、シーモアさんは移民論争におけるもう1つの側面を運転席から眺めてきた。今年に入り、カナダへの不法出国者は約2000人。その一部を彼が運んだのだ。