[東京 15日 ロイター] - 日本株が底堅い動きをみせている。日経平均<.N225>は2万円手前で足踏みしているものの、調整幅は限定的。北朝鮮を巡る地政学リスクの高まりにも抵抗力を示した。下支え材料は、堅調な国内企業業績への期待だ。

ただ、業績も為替次第の面が大きく、慎重ムードが消えたわけではない。個人投資家は逆張り姿勢を強めている。

<トヨタ・ショック回避>

トヨタ自動車<7203.T>が10日に発表した2018年3月期の連結営業利益予想は、前年比で約20%減の1兆6000億円。トムソン・ロイターが集計したアナリスト25人の予測平均値2兆3190億円を大きく下回った。

しかし、翌11日の株価は売りが先行したものの、終値は前日比42円(0.7%)高。投資家を強気にさせたのは想定為替レートだ。前期実績の108円に対して、今期は105円に設定。実勢は110円を超えていたことから、上振れ余地があると受け止められた。

「今期が一転して増益というのは考えにくいが、為替とコストダウンの見通しが保守的であり、上振れ余地はある」と、ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄シニアファンドマネージャーは話す。

トヨタに限らず日本の自動車企業の業績見通しは、円高や米国販売のピークアウト懸念から総じて厳しい内容となったが、上振れ余地が意識され、株価の反応はそれほどネガティブではない。

今期の営業利益が市場予想を下回る見通しを示した日産自動車<7201.T>も、決算発表翌日の12日に32.5円(3.0%)高となっている。

<今期2桁増益予想で割高感後退>

上場企業全体でみれば、18年3月期業績は良好な見通しだ。みずほ証券の集計によると、3月期決算の東証1部企業の今期純利益は前年比11.2%増の見通し(12日時点、時価総額ベースで65%が発表、金融除く)だ。68%の企業が増益を見込む。

日経平均の予想1株利益も上昇。足元で約1316円と決算発表シーズン前の4月20日時点と比べ10.5%増加した。日経平均の予想PER(株価収益率)は15.1倍と、半年ぶりの水準まで低下。ファンダメンタルズ面でみれば、日本株の上昇要因は業績拡大期待だ。

ただ、PER15倍は歴史的にみて、バリュエーションのほぼ中間点。為替変動や海外情勢次第で振れやすいところに位置しているともいえる。

いちよしアセットマネジメント執行役員の秋野充成氏は、米長期金利の上昇は見込みにくく、円安となってもドル/円<JPY=EBS>は115円台がいいところと指摘。「日経平均が2万円にワンタッチしても、今の局面ではそこから買う投資家はそれほど多くはない。ワンタッチした後は出尽くしとなる可能性の方が高い」とみる。

<「弱気ETF」に個人の買い>

海外勢の買い越し基調が続く一方、早くも目先の調整を見込んだ動きをみせているのが個人投資家だ。

日経平均が1%下落した場合に、2%値上がりするように運用する上場投信(ETF)「NF日経平均ダブルインバース」<1357.T>の純資産総額は、12日時点で約1376億円。日経平均が急伸した大型連休明けの8日時点と比べ、4営業日で15.5%の増加となり、設定来で最高だった3月8日の1400億円に迫りつつある。

このETFの買いの主体は、個人投資家との見方がもっぱらだ。「2万円に届きそうで届かず、株高も一巡したとみているのだろう。トランプ米大統領がFBI(連邦捜査局)のコミー長官を解任したこともインパクトの大きい話。北朝鮮情勢とともに、ムードの変化を感じ取る投資家が多い」(フィリップ証券・リサーチ部長の庵原浩樹氏)との見方が出ている。

日本株の割高感は後退したとはいえ、4月下旬以降の急激な株高で過熱感は依然強い。東証1部の騰落レシオ(25日平均)は買われ過ぎを示す130%台を示している。業績期待が下支えそうではあるものの、海外からのネガティブ材料が出れば、調整色が強まるかもしれない。

(長田善行 編集:伊賀大記)