たとえば、北朝鮮が崩壊し韓国が統一に踏み切るとしても、統一朝鮮が必ずしも中国に対して敵対的とならない形を作れるのではないか。米軍前方展開の形は現状のままに止め、38度線以北には展開しないことも考えられよう。また、難民対策や核物資の処理対策、経済的復興のための関係国の協力体制など、関係国の万全な協力体制も構築しうるのだろう。

 このような展望が明確となった時、中国は北朝鮮に対し、本気になって働きかけをするだろう。

暴発の危険に備え
共同危機管理計画を

 さらに重要なことは、北朝鮮自身がこのままでは体制の維持が不可能であると認識し、核の放棄の見返りに「体制保証」を取り付けることの利益を真剣に考えざるを得なくなることである。すでに2005年9月の六者協議で合意された共同声明で、検証可能な核放棄の見返りに現在の休戦協定を平和条約に変えることや、米朝、日朝関係(ピョンヤン宣言に従った)の正常化や経済協力を取り極めている。この時は実際の合意履行が図られなかった。今回は合意の確実な実施を図るということである。

 しかし、同時に北朝鮮の行動は、予測不可能な面があることにも留意しなければならない。関係国は北朝鮮が暴発する危険が常にあることを十分認識しておくことが必要である。日米韓の間では共同で危機管理計画を策定しておくことが極めて重要である。幸いにして、日本においては1994年の第一次北朝鮮核危機以降、周辺事態法、有事法制、新安保法制などで日本の役割を規定し、関係国、特に米国を支援し行動することが可能となっている。今こそ共同で緻密な危機管理計画を策定するべき時に来ている。

 そうすることが北朝鮮の暴発を抑止することにもつながるのである。万全の危機管理計画を持ちつつ、北朝鮮に核を持っても体制の生き残りにはつながらないことを示し、非核化の合意を履行させることが北朝鮮問題の唯一の解である。

 それ以外の方途はあまりに多くの犠牲を生むことになるだろう。