米国民が疑いの目を向ける
トランプとロシアの関係

 トランプ勝利に大いに貢献したコミー氏だが、意識的にトランプを応援したわけではなさそうだ。

 大統領に就任してから1週間後の1月27日、トランプは再びコミー氏に会い、自分への「忠誠」を誓うよう求めたが、コミー氏は拒否したという(朝日新聞デジタル5月13日)。

 さらにコミー氏は3月20日、下院情報特別委員会で、「トランプの選挙陣営とロシア政府の関係について、昨年7月から捜査している」と語った。

 捜査している理由について彼は、「米国が世界で輝いているのは、自由で公正なすばらしい民主主義と、それを支える選挙制度があるからだ。だから、他の国が民主的な米国の選挙に干渉し、破壊し、汚すのは、とても深刻な問題だ。さらに、米国人が他国による干渉に加担しているのであれば、これほど重大な事態はない」と答えた。
 
 そしてコミー氏は、解任される直前、「ロシアの選挙介入疑惑」捜査を進めるために、「予算増」を要求していたことが明らかになっている(太線筆者、以下同じ)。

<前FBI長官、ロシア疑惑に予算要求=解任前、捜査妨害疑いに拍車 
【ワシントン時事】 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は10日、コミー前連邦捜査局(FBI)長官が9日にトランプ大統領に解任される数日前に、ロシア政府による米大統領選介入疑惑の捜査に割り当てる予算を大幅に増やすよう司法省に求めていたと報じた。解任前にコミー氏から話を聞いた複数の議会関係者の話として伝えた。>

 これこそが、米国が大騒ぎになっている理由である。米国民は、「トランプは、やはりロシアから支援をうけて大統領に当選したのではないか?やましいことがあるから、コミー氏を解任したのではないか?」と普通考えるだろう。
 
 ちなみに、プーチンやロシア政府高官は、米大統領選挙への介入を一貫して否定している。ロシアの主張は、概ね以下のようなものだ。

 ・大統領選挙戦中、ヒラリーは、「プーチン愛」を公言しているトランプの人気を下げるために、「プーチンは悪魔のような男」「トランプはプーチンの傀儡」というプロパガンダを行った。

 ・大統領選後も民主党は、トランプ大統領を陥れるために、同じプロパガンダを繰り返している。

 つまり、ロシアの米大統領選介入疑惑は、ヒラリー陣営と民主党のプロパガンダだというのだ。日本人にはなかなか信じがたい主張だと思うが、ロシア人のほとんどは、ロシア政府の説明を信じている。そして、「プーチンに米国を操る力があるのなら、なぜ私たちは制裁され苦しみつづけているのか?」と笑うのだ。

 真実がどこにあるにしろ、「トランプの言動が、怪しさを増幅させている」とはいえる。