5月15日、東芝のメモリー事業売却に対し米ウエスタン・デジタルが国際仲裁裁判所に差し止めを申し立てたことで、東芝の経営再建がさらなる隘路に陥りつつある。写真は1月23日、都内で撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 15日 ロイター] - 東芝の経営再建がさらなる隘路に陥りつつある。同社の債務超過解消の切り札となるメモリー事業の売却に対し、合弁パートナーである米ウエスタン・デジタル(WD)が国際仲裁裁判所に差し止めを申し立てた。東芝の綱川智社長は15日の会見で、売却できない場合の代替案は検討していない、と強気の姿勢を示したが、買収側にとってのリスクが高まる懸念もあり、同事業の売却がさらに難航する可能性は否定できない。

プランBは考えず

 東芝は15日、監査法人の了承を得ないまま17年3月期についても決算数値の開示に踏み切った。綱川社長は再三にわたる異例の決算発表を謝罪したものの、同事業に対する法的措置に踏み込んだWDに対しては、「(東芝が)合弁契約に抵触する事実はなく、ウエスタン・デジタルが売却プロセスを止める根拠はない」などと対決姿勢をあらわにした。

 東芝が4月に分社化した東芝メモリは、売却額が「少なくとも2兆円」(綱川氏)とされる。その売却益は、東芝が17年3月期で5400億円と見込む債務超過から抜け出し、財務を正常化させる「頼みの綱」となっている。 もし半導体事業の売却を17年度内に完了させることができなければ、東芝は2年連続の債務超過に陥る。綱川氏は非上場化については「考えていない」との立場を崩していないが、WDの仲裁申し立てが売却の遅れにつながれば、東芝株が上場廃止となる可能性は一段と高くなる。

 売却交渉が年度内に間に合わなかったり、売却を断念する場合に備える「プランB(代替案)」の必要性はないのか。記者会見でそう問われた綱川氏は、「基本的に(東芝メモリ売却による)プランAで進めていきたい」と強調した。