ここで急浮上したのが、WDが官民ファンドの革新機構と共同する「新・日米連合」の枠組みだ。これまでの日米連合は、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と革新機構を中心として、富士通など国内企業の出資を集める日本連合を加えるのが基本的な枠組みだった。

 これに東芝と対立するWDの合流が焦点だったが、新たな日米連合の構想では、過半数の出資にこだわるWDが新会社に51%を出資して主導権を握り、革新機構と政投銀が合わせて6000億円程度、残りを銀行団が融資する。銀行団は、東芝メモリが生み出すキャッシュフローを担保にして買収資金を借り入れるLBO(レバレッジド・バイアウト)で資金を拠出する。

 一方で、第1次入札から東芝メモリの入札に参加していたKKRは、革新機構と共同入札する方向で調整していたが、日本連合の資金がなかなか集まらず、東芝とWDの対立が先鋭化する中で、静観する構えに転じた。新・日米連合の合流についてもメリットを見極めながら検討する姿勢だ。

 ただ、東芝の提携相手だった旧サンディスクを170億ドル(約1兆9000億円)で買収したばかりのWDには資金の余裕はない。東芝のフラッシュメモリー事業を運営するには毎年2000~3000億円規模の巨額投資が必要で、WDも16~18年度に50億ドルもの巨費を四日市工場に投資する計画だ。東芝メモリの支配権を手に入れればWDの投資負担は増大するため、3~4年後の新規株式公開(IPO)を目指すスキームが有力だ。

WDへの不信ピーク
主力行の圧力で対抗断念
2次入札前に混沌

 だが、依然として東芝は、WDが主導権を取ることに抵抗を示している。

 10日の東芝とWDのトップ会談では「東芝メモリの主導権を取りたい」と主張するミリガンCEOに対し、綱川社長は「独禁法の問題はどうするのか」と応酬した。