東芝メモリとWDのフラッシュメモリーの市場シェアを合わせると、首位サムスンに拮抗し、買収に必要な独禁法の認可取得が難しくなるのは当初からの懸案。中国などで承認が遅れて売却完了が18年3月末に間に合わなければ、東芝は2期連続の債務超過になり、上場廃止となる。

 もっとも東芝のWDに対する不信は、独禁法だけの問題ではない。2000年に四日市工場の共同運営で契約を結び、以来、16年間にわたって提携関係を継続してきたサンディスクをWDが買収したのは16年5月だ。サンディスクとは長期にわたる友好関係を築いたが、WDとの付き合いはたった1年。

 この間、サンディスク共同創業者のサンジェイ・メロートラ氏はWDを去り、競合するマイクロン社長に転じた。東芝側とフラッシュメモリーの生産を共に拡大してきた多くのサンディスク出身の幹部の多くもWDを去り、「パートナーの社風はすっかり変わった」(東芝幹部)と嘆きが聞こえる。

 その上で突如として浴びせられたのが、東芝メモリ売却手続きの「妨害行為」(同)だ。東芝では「弱みに付け込んで事業を乗っ取ろうとしているのでは」(同)との不信感がピークに達している。

 だが、主力取引銀行のある幹部は「2年連続の債務超過を避けるには、なるべく早くフラッシュを売るしかない」と東芝に早期売却を迫り続けている。WDが申し立てた国際仲裁裁判所の調停が長引くことは、明らかに東芝に不利。WDの揺さぶりを受けた東芝の対抗措置は、主力行の圧力で封じられたが、急浮上したWDを主体とする新・日米連合の構想は東芝側にとって受け入れ難い。19日に2次入札を控えた東芝メモリ売却の行方を一段と混沌とさせている。