壁にかけても違和感ないよう
有機ELで極限まで薄く

 室内空間にいかに溶け込ませるかにこだわった新製品だが、なぜ今、最大のアピールポイントを「画質」ではなく、「設置場所」にしたのか。

韓国サムスン電子の新型テレビ「ザ・フレーム」(写真左上)。壁掛けをした際に、絵画などと並べても違和感のないようデザインを工夫している
Photo by M.N

 背景には大きく2つの要因がある。一つは、テレビの大型化だ。

 ドイツの市場調査会社GfKによると、2016年に欧州で販売されたテレビの画面サイズ別で、45型以上が占める割合は全体の6割。中でも24%(金額ベース)と、最も割合が最も大きかったのは55〜59型だった。

 16年は前年に比べ販売金額全体が減少する中で、55型以上のテレビは販売金額が軒並み増加している。

 今後さらに大型化の傾向は強まりそうだが、欧米ではテレビを室内空間における邪魔者として、「ブラックアグリーボックス(黒く醜い箱)」などと呼び、敬遠する層が一定程度いるのも確かだ。特に大都市の集合住宅など、居住空間が狭い消費者の場合は、テレビが大きなスペースを陣取ることになり、購入時に心理的なハードルが上がりやすい。

 スマートフォンの登場によって、ただでさえテレビへの接触時間が減り、家電製品としての存在感が徐々に薄れる中で、メーカーが大型への切り替えを何とか進めようと、壁掛けという原始的な提案をあらためてしているわけだ。

 世界で唯一、次世代パネルの有機ELを使ったテレビを投入している韓国のLG電子も、壁掛けを強烈にアピールしている。

 5月12日から発売した同社の有機ELテレビは、画面の厚みが約3.9mmしかない。有機ELは自発光型のため、液晶のように背面に照明(バックライト)を使わず、その分本体を薄くできるのが最大の特徴だ。さらに、スピーカーやチューナー部分をテレビ本体から独立させることで、極限まで薄くしており、壁に掛けても違和感がないようにした。