LGは現在、ソニーやパナソニックなど日系メーカーをはじめ、各社が投入している有機ELテレビのディスプレー部分を、世界で独占的に供給している。LGしか大型の有機ELディスプレーの量産技術を持っていないからだ。

 そのため、LGの旗振りによって、いずれは他社からもLG製の極薄有機ELディスプレーを搭載したテレビが、相次いで投入される見通しだ。

100インチ以上でなければ
8Kの魅力は感じられない

 各メーカーが、設置場所に競争軸を置くもう一つの要因は、技術進化の行き詰まりだ。

 フルハイビジョンの4倍の解像度の「4K」、同16倍の「8K」など、各社はこれまで画質競争にしのぎを削ってきたが、ディスプレーメーカーのある幹部は「さらに12Kなどこれ以上高精細化させても、VR(仮想現実)機器では意味があっても、家庭用のテレビとしてほとんど意味がない」と話す。

 どういうことか。例えば、8Kテレビの場合、フルハイビジョンの16倍の高精細な映像を肉眼で認識でき、かつ映像への「没入感」を得る最適な視聴距離は、画面の高さ(縦の長さ)の0.75倍とされている。

 画面の高さは、60インチだと70cm台のため、その0.75倍だと画面から50cm程度の距離で視聴することになり、全く現実的ではない。そのため、少なくとも画面の高さが1mを超える「100インチ以上のテレビでないと、8Kはそもそも意味がない」と前出の幹部は話す。

 通常、自宅のリビングでは画面から2〜3m離れてテレビを視聴するため、その場合は「4Kで十分。8Kの魅力は一般の消費者は感じづらい」という。

 加えて、映像ソフトが4Kや8Kといったテレビのハードにまだ追いついていない。地上波では、大容量の放送データを圧縮する技術が確立できていないことがボトルネックとなり、4Kや8K放送の実現のメドがなかなか立たないのが現状だ。

 さらに言えば、メーカーが必死にアピールする有機ELや量子ドットといった技術も、画質の面でいえば、色の帯域が広がり、黒色がより黒くなるなど自然な色に近くなる程度の話で、一般の消費者に見違えるほどの魅力を与えるものでは決してない。