また、解像度でいえば、技術的には有機ELよりも液晶の方が優れているとされており、もはや「ドングリの背比べ」状態でしかないわけだ。

各社のプレゼンテーションを基に、テレビ市場の動向をイラストでまとめた「グラフィックレコーディング」。民間調査では、世界のテレビの平均視聴時間は1日183分。首位はサウジアラビアで404分という
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 となると、消費者を買い替えに突き動かすために、一体どこで差異化を図るべきなのか。各社が必死に知恵を絞り、至った結論の一つが「壁掛け」だった、というわけだ。

 そうした自ら振り出しに戻るような提案しかできない状況にあって、テレビメーカーが抱える歯がゆさと閉塞感は強まるばかりだ。

 ブラウン管が液晶に取って代わったような、消費者にわかりやすい技術革新をアピールできず、テレビの市場規模は世界で年間2億台と、頭打ちの状態が続いている。

 市場拡大が見込めない中で、日中韓のメーカーが入り乱れた消耗戦のような価格競争はいまだに健在で、日本でも4Kテレビが60インチで実勢価格が10万円台にまで下がってきた。

 閉塞感の強いテレビ市場の今後動向を占う上で、カギを握っている企業がある。委託元のブランドで生産を請け負うOEM/ODMメーカーだ。

 特に、中国ではBOE(京東方科技集団)をはじめとしたディスプレーメーカーが、テレビをOEM/ODM(委託元ブランドによる生産)供給するケースが多い。

 世界で販売されるテレビのうち、約4分の1は中国が占めており、その供給を一手に担うOEM/ODMメーカーが、テレビの価格動向を一部握っているわけだ。

 昨年、シャープを買収した受託製造大手の鴻海精密工業も、シャープと群創光電(イノラックス)という2社のディスプレーメーカーを抱えながら、今後液晶テレビ販売を1000万台に倍増させる方針を掲げている。

テレビ市場で存在感を増す
OEM/ODMメーカー

 今年9月1〜6日まで、ベルリン市内で開催される国際家電展示会「IFA2017」では、「グローバルマーケッツ」と呼ぶBtoB専用の別会場(2万m2)を拡張し、勢いを増すOEM/ODMメーカーが集結する予定だ。

 OEM/ODMメーカーは近年、「事業提案の質がかなり上がってきている」とメッセ・ベルリン社のイエンズ・ハイテッカーIFAグローバル統括本部長が語るなど、テレビ市場でもその存在感は増している。

 折しも、経営難に陥っている東芝が事業売却を検討するなど、テレビ市場は依然として激しい消耗戦を迫られている。価格をディスプレー製造のOEM/ODMメーカーに握られ、生き残るための技術の道筋をまだ見いだせない中で、テレビメーカー各社が苦悩する日々は当面続きそうだ。