忖度か、次期政権への根回しか?
厚労省の不可解な動き

本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中

 背後にある力学や、厚労官僚が何を思ったのかは、全くわからない。しかし、2017年~2018年に確実に起こりそうな一大イベントがある。衆議院の解散総選挙だ。

 2016年12月、日本維新の会が、生活保護の人々に対するパチンコ・公営ギャンブル・風俗店利用を禁止する法案を提出した。法案は成立しなかったが、日本維新の会のどこかに「パチンコだけなら」という執念が残っていそうだ。公営ギャンブルも風俗も、日本の法律のもとでは、一応は違法ではない。しかしパチンコは、景品が換金できてしまうことを含め、様々なグレーゾーンを含んでいる。

「生活保護なのにパチンコだなんて!」という主張は、有権者の人気を高めたい政党にとって使い勝手の良いものでもある。日本維新の会は、これまでと同様に、総選挙にあたって最大限に活用したいであろう。また、「生活保護なら調剤薬局は1ヵ所に限定する」という施策にも、大阪市長だった橋下徹氏が推進しようとしていたが実現できなかった経緯がある。

 私には、厚労省の生活保護パチンコ調査と「調剤薬局は1ヵ所に」という案は、日本維新の会への「忖度」、少なくとも忖度するポーズに見えてならない。

 実際にそうであるとして、なぜ、厚労省は、そうせざるを得ないのだろうか。内実までは想像できない。しかし、もしかすると、生活保護はすでに、実質的に社会保障政策ではなくなっており、政治の中での取引材料や貢ぎ物のようなものに変質しているのかもしれない。

 私のこの危惧が、内閣府や財務省の文書ほど確かな“予言”とならず、懐かしの「ノストラダムスの大予言」のように笑い話で終わることを、心から願いたい。

 次回は、生活保護世帯の子どもたちの「貧困」の内実を捉える試みを紹介する予定だ。

(フリーランス・ライター みわよしこ)