また、合併前の旧行の名前を三つ並べた長過ぎる銀行名は、批判の的であるのに加え、旧行意識の象徴でもあった。

 このタイミングでこれらの改革に着手できた背景には、日本銀行のマイナス金利政策などによる貸出金の利ざや低下といった、銀行業界が直面する逆風がある。平野信行・三菱UFJFG社長は「今後も厳しい経営環境を覚悟しなければならない」と見通しを語る。

 そして、その危機感を「グループ各社の次世代を担う中堅社員約60人と共有し、彼らに半年かけてまとめてもらった」(平野社長)のが今回の改革案だという。

 危機感と次世代志向が相まって、ようやく旧行の呪縛から脱しようとしているというわけだ。

有力OBが目論んだ
「三菱銀行」への銀行名“先祖返り”

 ただ、一方でこの二大改革は、別の捉え方もできる。それは、旧三菱銀行陣営による三菱UFJFG内でのさらなる覇権の掌握だ。

 銀行と信託での事業重複解消は、旧三菱銀行出身の歴代トップが頭を悩ませてきた問題。今回の再編で法人融資に限ってではあるものの、銀行への集約で話がまとまり、旧三菱銀行陣営にとっては積年の課題が前進を見せたともいえる。

 銀行名変更についても同じことがいえる。旧三菱銀行陣営は、かねて銀行名を変えたがっていた。それも「三菱銀行」が本命だった。

「そろそろ銀行が合併して10年になる」。数年前、旧三菱銀行出身の三菱東京UFJの有力OBが、ある会合の席で金融庁幹部に対して、こう切り出したという。2016年に三菱東京UFJが設立10周年を迎えるよりも前の出来事だ。