経営×ソーシャル
ソーシャル グローバルトレンド
2017年5月23日
著者・コラム紹介 バックナンバー
武邑光裕 [クオン株式会社 取締役 兼 ベルリン支局長]

なぜ人々はオンライン・コンテントにお金を払うようになったのか?

ベルリンの複合映画館“CineStar”の電光ポスター。「映画」は映画館から生まれるだけでなく、Netflixのように映画館上映をパスして、視聴者のスマホに直接配信される時代を迎えている

GoogleやFacebookなどの「無料」のサービスやコンテントは、ユーザーの個人データを莫大な利益に変えることで成立しています。「ただより高いものはない」という警句の通り、ユーザーがいつの間にかIT巨人の「製品」になっていたとすれば、インターネット上に「フリーライダー」は存在しないのかもしれません。そんな中、世界では今、コンテントに「対価」を支払う人々が急増しています。世界に広がるサブスクリプション革命はなぜ起きているのか? その核心をレポートします。

コンテント産業×表現するユーザー

ベルリンの4KレーザープロジェクションIMAXシアター。ハリウッドの大作映画の一大ショーケースとなっている

 20世紀のメディア産業は、人々に消費を促すことで成長しました。広告がメディアビジネスを牽引し、人々は消費に邁進することになります。しかし、ネットやスマホが浸透するデジタル時代では、人々は消費以上のことを実行します。人々がテレビ漬け、広告漬けだったとすれば、それは与えられた選択肢の狭さに他ありません。

 20世紀のメディアが配信できるコンテントは、量的にも限りがありました。映画、音楽、テレビ、出版などは大手メディア企業によって占有され、一部インディーズ・メディアなどがあっても、それは希少な存在でした。米映画監督のジョージ・ルーカス氏は、2006年のインタビューで「未来の映画の秘密は量にある」と述べ、ハリウッドの大作主義に警鐘を鳴らしました(*1)

*1 かつて映画館のスクリーンがテレビに移行したように、現在はテレビからスマホやタブレットなどのマルチスクリーン時代を迎えている。ルーカスは、ハリウッドの1本当たりの映画予算、2億ドル(約220億円)をかければ、120時間分のビデオ(映画)を50~60本作れると語り、未来の市場はデジタル配信であり、すべてはユーザーの「選択」の自由に帰結すると予見していた。



武邑光裕(たけむら・みつひろ)[クオン株式会社 取締役 兼 ベルリン支局長]

メディア美学者。武邑塾主幹。日本大学芸術学部、京都造形芸術大学情報デザイン科、同大メディア美学研究センター所長、東京大学大学院新領域創成科学研究科、札幌市立大学デザイン学部(メディアデザイン)で教授職を歴任。2015年より現職。専門はメディア美学、デジタル・アーカイヴ情報学、創造産業論、ソーシャルメディアデザイン。著書『記憶のゆくたて デジタル・アーカイヴの文化経済』(東京大学出版会)で第19回電気通信普及財団テレコム社会科学賞を受賞。2015年よりクオン株式会社ベルリン支局長。2016年、取締役就任。


ソーシャル グローバルトレンド

ヨーロッパ各国から様々なクリエイターやテクノロジストが集まる街、ドイツ・ベルリン。この街を訪れると、自ずとソーシャルビジネスのグローバルトレンドを垣間見ることができます。本連載では、ベルリンに在住する著者が現地で見た、ソーシャルビジネスの最前線を紹介します。

「ソーシャル グローバルトレンド」

⇒バックナンバー一覧