資生堂を利益で超えたコーセー、次のステップは海外市場株式会社コーセーHPより

「率直に言って社歴の長い役員、幹部が喜んでいたと思う」。長年、王者・資生堂の後塵を拝してきたコーセーの小林一俊社長は今月1日、2016年度決算の感想を問われると、笑顔をのぞかせた。

 売上高は4期連続、営業利益は3期連続で過去最高を更新。小林社長の笑顔の理由は16年度の営業利益で、頭一つではあるがついに資生堂を抜いたことにある(下図参照)。

 売上高では資生堂の8503億円に対し、コーセーは2668億円と、依然大きな差はある。コーセーの強みは資生堂の4.3%に対して、14.7%という高い営業利益率。その結果、営業利益で資生堂の368億円を超える392億円をたたき出した。

 国内売り上げの好調とともにけん引したのは、14年に買収した米化粧品タルトだ。業界のライバル企業も「他業界を見渡しても近年非常に成功したM&Aの一つだった」とうらやむ。

 タルトは「SNSを活用し、マス宣伝を一切しない」(コーセー広報室)という独自のビジネスモデルを展開し、小林社長自ら「学ばなければならない」と言うほどの急成長を続けている。