スカイプで「Facebook研修」を決行

 しかし、ここまでくる道のりは決して簡単ではなかった。

「一番苦労したのは、メンバーの協力を得ることでした」と最上氏。

 Facebookを盛り上げていくには、口コミの相乗効果を起こすことが必須となる。そのためには一部の人だけが行っても効果は期待できず、メンバーみんなに協力してもらい、みんなで盛り上げて行く必要がある。しかし、メンバーはインターネットやパソコンが苦手な「アナログ派」が多く、新しいツールであるFacebookがどんなものかを理解する人は最初ほとんどいなかった。さらに、HCJのような独立した事業主が集まるNPO組織は、当然ながら「雇用関係」ではなく、メンバー同士はフラットな関係。Facebookがいくら効果的だと言っても、それを一般企業のようにトップダウンで全員に強要することができないのである。そのため、メンバーに「やる意義」、つまりFacebookを使うことで自分の認知度と好感度が高まり、仕事を受注することが可能であることをわかってもらう必要があった。

スカイプによるFacebook研修が成果を上げる

 そこで、まずはFacebookを含めたIT研修を行った。全国組織なので、スカイプ(無料通話)を使ったインターネット上での研修だ。幸いなことに、コーチはクライアントとのセッションにスカイプを使うことが常識化しているため、スカイプに慣れている人が多かった。

 スカイプ研修ではFacebookの基本操作や使いこなし方を数名のグループで行った。その後は上級者が「ウェブサポート隊」を作り、フォロー講座を7~8回行い、底上げをしていった。

「面白いことに、東京の方よりも地方の方のほうががんばるんですよね。東京だと、イベントやセミナーなど、対面で仕事を取る機会が多いですが、地方はほとんどそれがないので、インターネットの集客に頼らざるを得ない。だからみんな一生懸命なんです」(最上氏)

 努力の甲斐があって、徐々にコーチたちがFacebookを使えるようになってきた。活動が活発になり、それにつれてまわりへの波及効果が起きる。ブログ記事をアップすると、「いいね!」が増え、アクセスも増え、着実に認知度が上がってきた。

Facebookでソーシャル戦略を成功させている<br />NPO法人の秘密ヘルスコーチ・ジャパンのブログのアクセス解析。記事をアップするとアクセスが上がっているのがわかる。