今年のプロ野球のスローガンをご存じだろうか。

「覚悟 ~なぜ、あなたはここにいるのか~」である。日本野球機構(NPB)オフィシャルサイトのトップページには「覚悟」の文字とともに12球団の人気選手が武道家風の和服を着て厳しい顔で並ぶ画像が貼られており、そこをクリックすると、このスローガンの説明が現れる。要約すると、今年は野球界の将来のために何ができるかを考え挑戦する年であり、選手をはじめ球界関係者は今、なぜ、ここ(球界)にいるのかを自分に問いかけ、「覚悟」を持って試合に臨まなければならない、ということだ。

 当コラムではプロ野球人気が負のスパイラル状態にあることを何度も書いてきたが、NPBサイドも相当の危機感を持っているようで、「このままでは球界はダメになるという覚悟を持ち、お客さんを満足させる全力プレーを見せなければならない」という決意表明をしたわけだ。しかし、東日本大震災などの影響もあって観客動員はさらに減少。今のところ事態は改善されていない。

 ただ、この思い切ったスローガンの効果なのか、今年は観る者をワクワクさせるようなプレーを見せてくれる活きの良い若手が続々と台頭していることも確かだ。

 今季は当初、斎藤佑樹(北海道日本ハム)をはじめ澤村拓一(巨人)、福井優也(広島)、牧田和久(埼玉西武)ら新人の好投手に注目が集まっていたが、今はむしろ野手に観客を沸かせる若手が目立っている。

 プロ入り時から注目を集め、4年目の今季、ついにブレークした北海道日本ハムの中田翔(22)は今さら説明する必要はないだろう。その他の野手でプロ野球に新風を吹き込みつつある若手をあげておこう。