うっかり階段で足を滑らせて転倒、そして骨折――。そんなアクシデントが起こりがちな梅雨の季節。仕事に追われる忙しい身であればあるほど、一日も早く治して完全復帰したいもののだ。そんな人にうってつけの治療、「超音波骨折治療法」が広がっている。今年4月1日現在、全国242施設が“先進医療”として行っているが、骨折が早く治るってどういうことなのか。

 超音波骨折治療は、今や日本で最も手がける施設が多い、一番普及した“先進医療”だといえる。これは、その名の通り超音波を使って、骨折の治りを早める治療法だ。最大の特徴が、治療期間が短くなることで、野球の松井秀喜選手や、サッカーのデビッド・ベッカム選手など、早期治癒が不可欠なスポーツ選手が受けた治療法として知られている。

 実際、効果の高さには目を見張るものがある。海外の報告によると、骨折後7日以内にギプスで固定した骨折部に超音波骨折治療を行うと、超音波を使わないときに比べ、骨折が治るまでの日数が約4割も短くなった。例えば、前腕の骨の場合、一般的な治療による治癒までの日数が98日であったのに対し、超音波治療法では61日に短縮。また、同じく膝下の骨では154日から96日に短くなったのである。

超音波骨折治療グラフ超音波骨折治療をすると治療期間が短くなる

 それほど高い治療効果がある超音波骨折治療、「さぞかし特殊な機械を使って複雑なことをするのではないか」と思うかもしれない。しかし、治療法自体は至ってシンプルだ。

 まず、第一段階は、通常の骨折治療と同じで、骨折部分を元の正常な位置に整復し、ギプスなどで固定する。一般の骨折治療と違うのはこの後で、皮膚の上から骨折した箇所に、超音波を照射するのである。つまり、今までの治療に単に超音波治療をプラスするだけなのだ。