[ドバイ 19日 ロイター] - 19日のイラン大統領選は、穏健派で現職のロウハニ師が再選を決めた。しかし保守強硬派は敗北の借りを返そうとロウハニ師の政策に抵抗し続けるとみられ、両者の対立が激化しそうだ。

ロウハニ氏は経済面で若者のチャンスを増やし、国民の自由を広げるといった公約を掲げて勝利。選挙戦では最高指導者ハメネイ師とつながりの深い保守強硬派と公の場で議論を戦わせ、対立候補であるライシ前検事総長に彼らが便宜を図っていると批判した。

イランの治安組織である革命防衛隊(IRGC)が、ロウハニ師から受けた激しい批判を忘れることはないだろう。ロウハニ師は選挙戦で、保守強硬派は「舌を切り取り、口を縫い留める」と攻撃した。

ヘルツリーヤ学術センターの専任講師、Meir Javedanfar氏は「ロウハニ師に対する圧力は2期目になって強まるだろう。革命防衛隊などイランに深く根差した組織がロウハニ師にとってより厄介な問題を生み出す」と予測。「イランの保守強硬派は1979年の革命以来、政治的な敗北を喫するたびに、その恨みを晴らそうとしてきた」という。

革命防衛隊が国内の優位を取り戻すため、イラクやシリアなどに武装した隊員を送り、海外での対立を煽る可能性もある。

Javedanfar氏は「中東湾岸地域における革命防衛隊との政策対立が深刻化し、米国やサウジアラビアとの間でも衝突が深まるのではないかと危惧している」と話した。

ロウハニ師の側近は、同師は政策遂行に不可欠な手立てをまだ失っていないとみている。ロウハニ師は権力階層の上位に位置し、最高指導者ハメネイ師と数十年にわたり行動を共にしてきた。

ロウハニ師に近い当局者は「経済はハメネイ師にとって最優先課題だ。そのためハメネイ師は、西側諸国などとの核合意を慎重ながらも支持したように、ロウハニ師の経済自由化政策に対しても限定的ながら支持を与えざるを得ないだろう」と述べた。

ロウハニ師は2013年に、イランの対外的な孤立状態を改善すると約束して大統領に就任。その後は核合意に政治的な資源のほとんどをつぎ込み、民主化改革にはほぼ手を付けてこなかった。

しかし2期目に入れば国内での改革遂行を求める圧力が高まる見通しだ。

スタンフォード大学イラン研究プログラムのディレクター、アッバス・ミラニ氏は、ロウハニ師が革命防衛隊を叩いたことや自宅謹慎に処された改革派指導者の解放を約束している点を挙げて、「このまま保守派と正面衝突するとは思わないが、対立路線に向かうだろう」と述べた。

イラン国内における改革派と保守派の争いは、単なる哲学論争ではなくさまざまな既得権や特権の確保を巡る闘いでもある、革命防衛隊はビジネス分野でも幅広い勢力を築き上げており、西側への市場開放はこうした権益構造が根こそぎ覆されかねないと考えている。一方イスラム教聖職者を最高指導者とする政治体制にとって革命防衛隊の存在が非常に重要である点を踏まえている国民の間では、ロウハニ師が公約を完全に実行できると期待する向きはほとんど見当たらない。

(Parisa Hafezi記者)