役割ができると、目的や目標、夢を持つことができる。それが、「自分らしさを活かすこと」につながっていく

 だが、設立して5年経っても、全国的な大きな「ウェーブ」にはならない。どこの施設でもすぐに取り組めることが難しい、いくつかの課題があるからだ。特に、施設経営の壁は高い。

 例えば、利用者の希望を尊重するためには、どうしてもそれなりのスタッフの人数確保が必要になる。「人件費をカバーするためには、ここのような小規模型の通所介護施設では、常に稼働率が8割を超えることが求められる」と前田さんは言う。

 DAYS BLG!の場合は、前田さんを含めて常勤職員が3人(精神保健福祉士・介護福祉士・介護支援専門員)、非常勤職員が5人(社会福祉士・看護師・認知症ケア専門士・介護福祉士・介護支援専門員)、運転手1人。非常勤職員や学生のインターンやボランティアをうまく組み合わせながら人件費を抑えている。前田さん自身の給料は講演会や他事業所をフランチャイズ化して賄っている。

 だが、「次回介護報酬改定で、要介護1・2のサービス提供が打ち切りになると、多くの事業所の運営が厳しくなるでしょう」と前田さんは懸念する。

 また、企業によっては、発注時の数量ノルマのハードルが高いことがある。だが、利用者の体調や介護度を考えると、施設側も無理な受注はできない。

 そこで、前田さんはリスクマネジメントとして、「近隣の他の介護事業所や障害者の作業所、婦人会や老人会と、時間・人・場所をシェアすることで仕事を完成させることができないか」、昨年度から市役所と相談している。地域でのワークシェアの形を模索し、今年度はトライアルをしていく。

 DAYS BLG!の運営理念は「メンバーさん(※2)が『介護する側、介護される側』の関係でなく、お互いに信頼関係を築きながら生活する場所をつくること」とする。

 さらに、前田さんの仕事へのこだわりは、私たちが生きていくうえで「役割」を担うことの必要性を指摘している。役割ができると、目的や目標、夢を持つことができる。それが、「自分らしさを活かすこと」につながっていくからだ。

※2 DAYS BLG!では、利用者やスタッフ、子どもたち、そこに集うすべての人を「メンバーさん」と呼んでいる。