トランプ米大統領のロシアへの情報漏えい疑惑が持ち上がり、不透明感が高まる中で、米国10年債利回りは2.2%割れの水準まで低下した。今後議会で医療保険制度改革法の代替法案や税制改革法案の審議が進まなくなる可能性は高く、米国の景気押し上げに期待ができなくなる中で米国長期金利が低位に安定するとの思惑は強まりそうだ。

 一方、ユーロ圏の長期金利に注目すれば、米国長期金利の低下にある程度は連動したものの、ドイツやフランスを中心に下げ渋っている。

 2017年第1四半期のユーロ圏経済は年率2%の成長となり、また、フランス大統領選挙で極右のル・ペン候補が敗れ、マクロン新大統領が誕生したことによる安心感などから、さらなる経済成長によって、ECB(欧州中央銀行)の出口政策が進展するとの期待が高まっている。

 だが、現実にはすんなりと進展しそうにはない。

 ユーロ圏経済では、ドイツを中心とした輸出国が輸出と生産を伸ばし、雇用を創出し、失業率が下がり、賃金が上昇する過程で物価が上昇し、ECBが目標とするインフレ率に近づいていく構図となっている。