人気投資ブロガーで、『運、タイミング、テクニックに頼らない! 最強のファンダメンタル株式投資法』を出版したv-com2(ブイコムツー)さんの連載最終回。楽しみながら株が学べるアプリの紹介や、意外な種明かしもあります。

リアルすぎるアプリで株を学ぶ

 最近、アイカブ(AiKaBu)というゲームアプリにはまっています。
 といっても、1日10分くらい遊んでいるだけですが、これはもしかしたら、若い人が株式投資を始めるいいきっかけになるのではと感じました。

 アイカブ(AiKaBu)は、AKB48のメンバーを会社に見立てて、株を買うことで応援しようというゲームです。

 現実の株式市場さながらに作りこまれていて、板情報(買い注文と売り注文の一覧)が見られたり、売買もほとんどリアルタイムで成立したり、逆指値注文まで可能です。

 さらに、リアルイベントとも連動させ、なんと株主総会も今後開催予定(何をするんだ?)とのことですし、株主優待(大株主限定?)も作る予定だとか。
 なんだか面白いことをやっているなという印象ですね。

 このゲームをやると、株式投資を自然に学べそうです。
 買い注文、売り注文のやり方や板情報の見方だけでなく、「買いたいのだけどお金が足りなくてどうしよう」みたいな感覚も疑似体験できます。

 そして、株を買うことは資産を増やすという目的だけでなく、その企業を応援することだという感覚も、自然に身につくのではないかと思いました。

AKB48ファンは株式投資に向いている!?

 アイカブをやっている人の中から、本物の株式市場に参入してくる人が出てきたら、おもしろいと思います。
 というのも、AKB48でも乃木坂でもいいですが、大きなグループの中の個々のメンバーの魅力を見つけて応援している人は、株式投資に向いていると思うからです。

 特に、メンバーが無名なうちから発掘するのが楽しみという人は、その発掘力を、株の銘柄選びにも生かせるのではないでしょうか。
 株は、まだ知名度の低いうちから投資してこそ、大きな利益が得られるからです。

 多くの銘柄(人)の中から、自分が興味を持つ銘柄(人)を見つけるには、自分の中に何らかの基準となる判断軸があるはずです。
 世間の知名度などあまり関係ありません。
 その感覚を、株式市場でもうまく応用するのです。

 なんとなくしか見ていなくて、特に基準もない人は、どうしても大企業・有名企業(人気メンバー)にしか興味を持たなかったりします。
 特に上の世代にはありがちですが、「全部同じに見える」と言っていそうですよね。

 しかし、興味を持って調べてみると、企業も人も、さまざまな個性が見つかります。
 その魅力を発掘すること自体を楽しいと思えるかどうかというのが、成功のカギです。

 株式市場は、企業の隠れた魅力を誰よりも先に発掘するゲーム。私自身はそんな風にとらえています。

自分で決断して流されない

 とはいえ、株式投資にはリスクがあるから怖いという声も聞こえてきそうです。
 たしかに、元本保証などの「安心」がないから、最初は抵抗があるかもしれません。
 けれど、勉強することで、「安全」はある程度は確保できます。

 元本割れがないなどの「安心」を求めるのではなく、自分の判断基準を少しずつ作り、この企業には価値があるという魅力を探し、「安全」を求めるとうまくいくのが株式投資です。

 そして、株式投資は自分を変えるきっかけにもなります。
 株式投資のいい所は、自分が「主体的」に行動しないとうまくいかない所です。
 誰かが正解を教えてくれるわけではないので、「受け身」の姿勢ではだめなのです。
 これが正解というあらかじめ決められたレールはなく、自分で道を探し、切り開いていくことが必要になります。
 だからこそ、株式投資に取り組んで「主体的」に動くことを学べば、「受け身」の人生から脱却できる可能性が高まるのです。

 私自身、何よりも貴重だったのは、すべての投資を自分で決定してきたという蓄積です。他人の意見に悩んだり、不安な環境の中でも、自分で考え、自分で選び、自分の資金を使って、一歩を踏み出すプロセスを何度も(何百回も何千回も)やってきました。

 そうして繰り返していくことで、投資の世界に限らず、人生全般においても、自分で決めることが当たり前になったのです。

 長い人生、誰しも大きな決断が必要になることが起こります。想像もしていなかった逆境に立ち向かわなければならないことも出てくることでしょう。
 そんな時、不確実な環境下でも、自分で最終決定することが習慣になっていれば、必死に自分で考えて決断できるはずです。

 みんながこうしているからとか、親や上司がこうしなさいと言ったからなどと、流されたまま年齢を重ねてしまうと、いずれ大きな後悔をする時が来ることでしょう。
 他人の意見に流されるまま生きて行くことはある意味ラクですが、本当に重大な決断を迫られたときに立ち往生してしまうのではないかと思います。

 自分で考え、選ぶことのトレーニングを、株式投資は提供してくれたように感じています。

最後にちょっとした種明かしを…

 『運、タイミング、テクニックに頼らない! 最強のファンダメンタル株式投資法』の出版を記念した私の連載は今日で最終回です。そこで、最後は少し種明かしを…。

 第9回のコラムでメンタルを強化することが大事だと書きましたが、音楽がその助けになることもあります。
 音楽を聴いていると、「これは投資家にとって、メンタル的に大事なことを歌っている(ように聞こえる)ぞ」と感じることがあるのです。

 実は、『運、タイミング、テクニックに頼らない! 最強のファンダメンタル株式投資法』のダイヤモンドダイニングの事例の解説は、AKB48の『チャンスの順番』という曲の歌詞をモチーフにして書きました。
 この曲は、いつか来るチャンスをつかむためには、がむしゃらに自分にできることを常日頃からやって準備しておくことが大事、という趣旨の歌詞です。
 作詞者である秋元康さんが伝えようとしている世界観が、株式投資で必要とされていることとぴったりマッチしているように感じるというのはおもしろいものですね。

 ちなみに、前著の『昇格期待の優待バリュー株で1億稼ぐ!』では、『ファーストラビット』という曲の歌詞と、株式市場において不確実な世界に飛び込む勇気とをつなげたトピックを書いています。

 こうした遊びを本の中に入れるのも、株式投資と縁のなかった人、特に若い人たちが興味を持つきっかけになったらいいなという思いがあります。

 日本では、個人投資家が上の世代に偏っているため、もっと若者が、自ら勉強し育っていく環境を作れないだろうかというのが、私の最近のミッションになっています。
 本を書くのも、自分がほしいと思う(日本人が書いた)投資本があまりにも少ないというのもありますが、まだ30代の私が書くことで、少しでも若い人の刺激になればと思いました。

 新しいことにチャレンジすると、必ずといっていいほど足を引っ張る人が現れます。
 くだらない、意味がない、できるはずがない、特にネット上ではネガティブなコメントにあふれます。
 気持ちを強く持たないと、いつのまにか流されて、彼らと同じ口だけの傍観者になってしまうかもしれません。

 しかし、いつまでも出る杭が打たれるような社会ではいけません。
 自らリスクを取って行動した人は、チャレンジしたこと自体をほめられるくらいでちょうどいい。

 とことん悩んで、考えて、行動して、そして最終的に幸せにつながる。
 少しでもそういう人が増えて行くこと。それが未来への希望につながるのではないでしょうか。

 株式投資は、未来への希望を企業に託すことです。そんな魅力のある企業を発掘するゲーム。
 アプリでやるゲームもいいですが、現実の株式投資の方が圧倒的に面白いので、ぜひ最初の一歩を踏み出してみてください!

 ※最後までお読みいただきありがとうございました。アメーバブログ『21世紀投資』の方はこれからも続けて行きますので、今後はいつでもブログの方に遊びに来てくださいね。