[ベルリン 29日 ロイター] - メルケル独首相は29日、同盟国としての米国の信頼性を巡り、あらためて懐疑的な見方を示した。ただ、自身は完全な大西洋主義者とも語り、物議を醸した前日の率直な発言をやや軌道修正した。

首相は前日、欧州が他国に頼れる時代は「ある程度終わりを迎えた」と指摘。この日のベルリンで行なった講演でも、「ここ数日の動向は、他人に完全に頼れる時代はある程度終わったことを示している」と重ねて述べ、米国の信頼性について深刻な懸念を表明した。

米国とドイツは「もちろん」緊密なパートナーであり続けると語ったが、「欧州は自らの運命を自らの手で握るべきだと知っている」とし、米国に対し欧州が不満を抱えていることを浮き彫りにした。

トランプ米大統領は、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で国防費を公正に負担しないとして加盟国を批判。主要7カ国(G7)首脳会議では保護主義と戦うことには支持を表明したが、新たな気候変動の枠組みである「パリ協定」への支持は、決定まで一段の時間を要するとして拒否した。

メルケル首相は米国との関係は「極めて重要」としたが、「G7会合で、米国との合意がない場合、この道筋がいかに長く、厳しいものか明確になった」と指摘。米国との見解の相違を軽視しないことが正しいとの考えを示した。

また「周囲の世界に目を向けない者は、最終的には危険な立場に陥る」とも語り、暗にトランプ大統領に対し、米国を孤立させる恐れがあると警鐘を鳴らした。

これに先立ち、ドイツ政府のザイベルト報道官は、メルケル首相は健全な米独関係を維持するために、政策の違いについて率直であることは正しいと考えていると説明。「首相にとって欧米関係は非常に重要であるため、両者の相違について誠実に正々堂々と意見を述べることが首相の考えだ」とした。

側近によると、米政治の行方を巡る不透明感に加え、トランプ大統領は矛盾する発言が多く、同盟国の間では不満が広がっているとしている。