[北京/香港 26日 ロイター] - 中国は、格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスが約30年ぶりに同国の格付けを引き下げたことについて、不適切な手法に基づいているとして一笑に付そうとしている。

しかしこのような反応は、国内の株式・債券市場に海外マネーを呼び込もうとするなかで、自国がいかに見られているかについて中国が敏感になっていることを如実に物語っている。

格下げにより、中国の債務問題において新たな事実が発覚したわけではない。しかし、これにより同国の経済見通しに効果的に異議を唱え、大々的に宣伝された改革の効果に疑問を呈し、外国人投資家の懸念が高まったと専門家は指摘する。

ムーディーズが24日に中国格下げを発表してから数時間後、中国財政省が引き下げは不適切な手法に基づいており、中国経済の問題を誇張する一方、改革の取り組みを過小評価しているとの声明を出すまで、中国国営メディアは、格下げについて報じることはなかった。

ムーディーズによる中国国債の格下げは約30年ぶり。これまでの「AA3」から「A1」へ1段階引き下げた。ムーディーズ当局者は26日、中国が膨れ上がる債務を抑制しない限り、今後一段の引き下げもあり得ると語った。

来月見直される米MSCI新興国株指数における中国株の採用を目指し、外国人投資家に向け今年一段の債券市場開放を計画する中国に対して、海外の評価と透明性を求める声は増すばかりだ。

ムーディーズと中国が同じ債務に対し異なる見方をするのであれば、それは、中国のリスク評価に必要な情報にアクセスするうえで、外国人が直面する困難をある程度映し出している可能性がある。

「中国での(情報)アクセスレベルは、資金調達をひどく必要とする国とは大違いだ」と、別の格付け会社のアナリストは神経質な問題であるため匿名でこのように語った。

「資金調達は中国ではあまり問題ではない。財政省や中国人民銀行(中央銀行)の会合レベルはさまざまだ。当局者にアクセスできるかどうかは、格付け会社が築く関係に左右される」

財政省と人民銀は、ファクスでのコメント要請に直ちに回答しなかった。

20カ国・地域(G20)の監督当局で構成する金融安定理事会(FSB)はちょうど今月、中国が主要な金融データを提供しないため、シャドーバンキング(影の金融、私的融資や信託ローン、ノンバンクからの借り入れなど)によって世界が直面する金融リスクに関する報告書の作成に遅れが生じているとして、同国を批判した。

<気にしない金融市場>

債務需要の大半は巨額な国内貯蓄プールから資金調達されており、中国は当面、国際格付けの重要性を重視せずに済む余裕がある。

また、一部のトレーダーは多少なりとも当局の支援があったとみているものの、中国の金融市場も格下げを気にしていない感がある。

人民元は25日、対米ドルで2カ月ぶり高値を付けた。ムーディーズによる格下げを受け、通貨の強さを誇示するため主要国有銀行が支援したとトレーダーの一部は指摘。元は26日、一段と上昇した。

中国の株式市場も25日、急騰した。上海と深セン市場に上場する有力企業300銘柄で構成されるCSI300指数は、2016年8月以来の大幅上昇となった。ここでも政府主導の買いが入ったとみられている。

<心配無用か>

ムーディーズは中国の格付けを引き下げた理由として、同国の債務が増加し、公式の成長目標を達成するため政府が刺激策に依存し続けることが予想されることを挙げた。

中国は債務問題は認めたが、リスクは管理可能だとしている。

外国人投資家はすでに債務増加を織り込み済みのため、中国本土の債券市場に対する関心に影響を及ぼす可能性は低いと、BNPパリバ・インベストメント・パートナーズのジャンシャルル・サンボー氏は指摘。

「これら債務構造をもっと良く理解したいかと言えば、もちろんだ」とサンボー氏。「非常に複雑で、重複していることもある。予想はどれも完璧ではない」

格下げによって、中国の国有企業が国内投資の資金として使っていた海外からの借り入れコストが一段と高くなる可能性があるだけでなく、一部の外国ファンドは中国資産のポートフォリオ組み入れに対し制限を受ける可能性がある。

「(ムーディーズが)中国の実情を理解しているとは思わない」。こう語るのは中国のシンクタンク、中国国際経済交流センター(CCIEE)のチーフエコノミスト代理であるXu Hongcai氏だ。

「今年の中国の経済成長予想は昨年より良い。経済は安定し、向上している。(ムーディーズは)地方政府の債務について心配しているが、そのような必要はない」

(Elias Glenn記者、Umesh Desai記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)