商品の特性を考えると、無用な批判を避けるために啓蒙的な作品に仕上げるか、もしくは海外でよくみられる笑い中心の方向に持っていくか。過去の例を参考にどちらかで切り口を定め、そのなかでクオリティを高めていくということも十分に考えられたのかなと思います。

 しかし、全く新しい意外性のある切り口にもかかわらず、商品の必要性も伝わり、かつ作品としての芸術性も極めて高いこのCMの作り方から学ぶべきものは本当にたくさんありました。

意外性のあるタイトルはいい
だが「意外性のある打者」は褒め言葉ではない

 実は、上司のT田副編集長と企画について何度かミーティングを重ねている状況なのですが、私の中でイマイチ方向性が固まらず、日々頭を悩ませています。そんな折りにこのCMに出会ったので「う~ん」と唸ってしまいました。

 企画は、題材としてあまりに魅力的な情報が豊富なため、おそらく様々な切り口から攻めることができます。ただ、個人的にはビジネス書として内容を仕上げたいので、その方向性でいくのであれば意外性のあるタイトルにしたいなぁと考えているところ。

 そういえば、以前『もしドラ』編集担当K藤の勉強会で、社内一熱く暑苦しい男I沼が「K藤さんの『スタバではグランデを買え!』や、W田さんの『かばんはハンカチの上に置きなさい』のように、意外性のあるタイトルをつけられる勇気は凄いです」と言っていたことを思い出します。

 勉強会終了後、プリンスI川と喫煙所で話していたときも「あれは本当に凄いですよね」と言っており、経験豊富でベストセラーを連発している同僚でも同じことで悩んでいるんだなぁとちょっと安心したことを覚えています。

 どうせなら、異動してきたばかりの自分が悩むのは当たり前、と開き直り、せっかくなので頭を悩ませてみたいと思います。

 異動したばかりと言えば、先週、営業部時代に仲良くなった同業他社の友人と飲み会をおこない、そこには私と同じように突然書籍編集の部署に配属された仲間もいました。その彼が言った言葉です。