(1)年金収入が2016年より21万円多い
(2)消費支出は16万円、税金・社会保険料ともに今より15万円少ない

 赤字額が少なければ、老後資金の取り崩しのペースが緩やかになる。これは年金生活者にとても重要なことである。

「老後資金はいくら貯めるといいですか?」といった質問に私は次のように答える。

 【老後資金の目安=下記AとBの合計額】
 A.65~90歳までの25年間の「年間収支の赤字」の合計額
 B.病気の備えや住宅の修繕費、車の買い換え費用などの数年に1回の「特別支出」

 25年間の特別支出を1000万円と見積もったとする。年間収支の赤字額が15万円なら25年間で375万円、特別支出と合わせると、老後資金の目安は1375万円の計算になる。

 ところが、年間収支の赤字額が66万円なら、取り崩し額は25年分で1650万円、特別支出との合計額は2650万円にもなる。年51万円もの赤字分の差は、25年分の累積だとさらに重たいものになる。収支赤字の額は、老後の生活に大きな影響を与えることがわかるだろう。

 もちろん、すべての人が家計調査のデータ通りに暮らすわけではないので、年間収支は各世帯により異なる結果になる。ただし、まだ老後を迎えていない人にとってみると、「年金生活」の具体的な支出イメージは持ちにくいので、家計調査データは参考になるのだ。年金額は人によって異なるが、現役の時よりも収入格差が少ない。そういう意味でも「高齢無職夫婦の年間収支」は、使える資料なのである。

手取りで見ると
17年間で33万円の減少!

 3つ目のグラフも見てほしい。これは、年金収入が厚生年金と企業年金(退職金の分割受け取り)の合計で300万円ある人の手取り額を試算したグラフだ。手取り額とは、「額面の年金収入」から「所得税・住民税+国民年金保険料・介護保険料」を差し引いた金額のこと。