ベトナムの高校入試問題はどんなもの?

 次にベトナムの高校入試問題です。
 わかりやすくするためにすべて和訳してあります。

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【ベトナムの高校入試問題】

【問】選択肢A~Dから正解を選んで_________内を埋めてください。

【1】
Hundreds of people in the hardest-hit zone are at _________ of disease unless a tsunami-level aid effort is mobilized.
A. threat B. menace C. risk D. danger
(津波対応レベルの救援活動が行われているにもかかわらず、最も大きな被害地域では何百人もの人々が病気にかかる危険にさらされている)

【2】
Climate change and rising global food prices, which are _________ all people, are at the top of the agenda.
A. a cause for concerns to B. of concern to C. alarm bells from D. a cause for alarm at
(気候変動と全世界的な食糧価格の高騰は、多くの人々の懸念するところであり、議論の最重要項目だ)

【3】
Anti-terrorism forces were _________ full alert during the Olympic Games.
A. in B. under C. on D. at
(テロ対策部隊はオリンピック期間中、厳戒態勢を取っていた)

解答:【1】C 【2】B 【3】C

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 ベトナムの高校入試問題は単語数、難易度ともに日本の水準をはるかに超えていて、日本の大学入試レベルに匹敵します。

 しかも扱う英文の内容が違います。
 この入試問題から、「国家の繁栄は教育にある」という方針のもと、ベトナム政府がどんな子どもを育て、未来を託したいのかが垣間見えてきます。

 日常会話に困らない、なんとなくコミュ力がある中学生を育てることを目標としてきた日本と、意味のある情報がきちんと読み取れて、共有できて、そこに解決策を見出すことができる子を育てようとしているベトナムの「一流の英語」との格差を感じざるをえません。

 大分県内の大学には、ベトナムからの留学生が多く学んでいますが、英語が得意でコンピュータにも精通しています。
 みなさんのお子さんは、このようなアジアの若者と働くことになるのです。うかうかしていられません。

国が本気で学校英語を劇的に変え始める

 このような国際競争にさらされている日本の英語教育は、今後、大きく変わります。
 2016年8月、新学習指導要領のまとめ案が公表されました。
 それによると、新学習指導要領による英語教育は、小学校では2020年に完全実施を目指して、2018年から段階的に実施されます(中学校は2021年、高校は2022年から完全実施の見込)。
 新しい時代に必要な「生きる力」を育むポイントは3つあります。

 1 生きて働く知識・技能の習得
 2 未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成
 3 学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性の涵養