[東京 31日 ロイター] - 日銀による国債買い入れ減額の動きが一服している。31日に発表した6月分の長期国債の買い入れ方針では、各年限の買い入れ額のレンジや回数を5月から据え置いた。

足元の長期金利の水準が、目標とするゼロ%程度で安定推移を続けているためだが、政策の長期化も想定される中、国債買い入れの方向性は、引き続き減額含みとみられる。

日銀は今年3月以降、長期国債買い入れについて、残存1年超5年以下の中期ゾーンを中心に減額を進めてきた。具体的には今年2月までの同ゾーンの1回当たりの買い入れ額は8000億円超だったが、3、4、5月と減額を進め、足元では同6000億円弱まで圧縮されていた。

31日に発表した6月の買い入れ予定額をみると、1回当たりの買い入れ額のレンジは、1年超3年以下が2000─3000億円。3年超5年以下が2500─3500億円と5月から据え置いた。

これまでの中期ゾーンの買い入れ減額は、海外勢の需要を中心とした需給ひっ迫に対応した面が強かった。この間の長期金利が目標のゼロ%程度で安定して推移する中で、中期ゾーンの市場の需給も落ち着いてきていると判断したとみられる。

もっとも、中期ゾーンの買い入れ減額によって長期国債全体の買い入れ額は、保有残高を年間約80兆円をめどに増加させるペースからかい離が大きくなっている。

市場では、足元の買い入れ額が1年間続いた場合、日銀の国債保有増加額は60兆円程度になるとも見方もある。

ロイターの集計によると、日銀が5月に買い入れた長期国債の総額は7兆8889億円 (通告日ベース)となり、前月に比べて4274億円減少。14年10月以来約2年7カ月ぶりの低水準となった。

このため市場では、日銀が声明に明記している「80兆円」の長期国債の買い入れめどを削除するのではないかとの思惑がくすぶるが、日銀では引き続き慎重に対応する考え。

桜井真審議委員は26日の佐賀市内での記者会見で、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策の下では「量は従属変数になる。そこは変動せざるを得ない」としながら「今の段階で80兆円というめどを置いておくことは問題ない」との認識を示している。

日銀では、大規模な国債買い入れが市場金利に与える影響について「国債が品薄になり国債需給がひっ迫する場合、一単位の買い入れによる金利押し下げ効果はより大きなものになる」(黒田東彦総裁)と説明している。

米トランプ政権の経済対策への期待や、米利上げによって高まった海外金利の上昇圧力もひところに比べて弱まっている。

日本の足元の物価も引き続きゼロ%程度に低迷する中、市場は現行の金融緩和策の長期化を視野に入れつつある。長期金利の先高観測も後退する中、先行きの国債買い入れは引き続き減額が模索される可能性が大きい。

(伊藤純夫 編集:田巻一彦)