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ソーシャルメディア進化論

【第1回】
「ソーシャルメディアは死んだ」と言われる日は近い…?

武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役]
【第1回】 2011年7月19日
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ツイッターやフェイスブックをはじめ、いまや日本でも約7000万人以上が利用している「ソーシャルメディア」。ユーザー同士が直接つながれるシステムとあって、企業も自社のマーケティング活動等にソーシャルメディアを積極的に活用する動きがそこここで見られる。
本連載では、花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者として今国内外から注目を集めているエイベック研究所の代表取締役 武田隆氏に、ソーシャルメディアの現在と未来について、独自の視点で迫っていただく。
 

7000万人が集う巨大コミュニティ

武田隆(たけだ・たかし)エイベック研究所 代表取締役。日本大学芸術学部にてメディア美学者 武邑光裕に師事。「日本の伝統芸術とマルチメディアの融合」を学ぶ。1996年、学生ベンチャーとして起業。企業のウェブサイト構築のコンサルテーションを足掛かりに事業を拡大し、多数の受賞を得るも、企業と顧客の距離が縮まらないインターネットサービスの限界に悩む。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「企業コミュニティ」の理論と手法を独自開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社にシステムを導入。当ドメインでは日本最大。コミュニティには60万人を超える消費者が集まる。1974年1月生まれ。海浜幕張出身。

 はじめまして。武田隆といいます。私は1996年に学生ベンチャーとして起業して以来、一貫してインターネットを使った企業と顧客の関係構築の支援を営んできました。昨今のソーシャルメディアブーム、3月11日に発生した東日本大震災以降のツイッターの活躍、そしてフェイスブックなど海外ソーシャルメディアの日本への本格進出もあって、ソーシャルメディアに向けた注目も高まり、企業担当者の関心もかつてない盛り上がりを見せています。

 ソーシャルメディアとは、「人々の社交を支援するメディア」のことを指し、一般消費者が自ら参加し発言することでつくられるメディアの総称です。フェイスブック、ツイッター、ミクシィに始まり、ウィキペディア、カカクコム、2ちゃんねるなどもソーシャルメディアに含まれます。

 ソーシャルメディアは最近誕生したかのように思われがちですが、実はとても長い歴史を持っています。日本における草分け的存在は、1987年にスタートしたニフティサーブ。200万人の会員を擁したこの巨大なパソコン通信は、同じ興味関心を持つ人々が会話やチャットを楽しむ「フォーラム」と呼ばれる電子掲示板を備えていました。

 その後もさまざまなソーシャルメディアがインターネット上に誕生し、その利用者を拡大していきました。ヤフー掲示板や2ちゃんねるに代表されるような「匿名掲示板」。カカクコムやアットコスメといった商品を利用者の口コミによって評価する「比較サイト」。また、個人が手軽に情報発信できる「ブログ」も多くの利用者に受け入れられ、最近ではミクシィやフェイスブックのように友達どうしでつながる「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」も流行しています。

 いまや、日本におけるソーシャルメディア全体の利用人数は、インターネット利用者の76.3%にもなります(『インターネット白書 2009』財団法人インターネット協会監修、インプレスジャパン)。実に7000万人近くが利用している計算です。世界規模で見ても、1998年には2億人以下だった世界のインターネット人口は、2010年には15億人へと増加。いま、私たちの世界には、地球規模のとてつもない変化が訪れています。私たちは人類史上、最もお互いにつながり合っている時代を生きているのです。

ソーシャルメディアをマーケティングで活用しようとする企業たち

 ソーシャルメディアにおいて消費者は、自由に、また主体的に動くようになり、お互いに広くつながり合うことを始めました。その規模は短い期間で急速に拡大し、かねてより「口コミ」と呼ばれていた現象は、その影響力を爆発的に強めています。

 この変化は、企業にも大きな影響を及ぼしています。一般消費者を相手にしている企業にとって、この強力な口コミのエリアであるソーシャルメディアをどのようにマーケティングの現場で活用するかというテーマが、重要かつ喫緊のものとなってきました。

 一方、消費者側も企業のソーシャルメディアへの参加を望んでおり、SNS利用者の93%が企業の参加を欲求しているというデータもあります(The 2008 Cone Business in Social Media Study, Opinion Research Corporation, 2008)。こうした状況を受け、さまざまな企業がソーシャルメディアとどのように付き合えばよいのか、試行錯誤をくり返してきました。

 しかしながら、インターネットの草創期からソーシャルメディアを観察し、企業マーケティングの現場で実践してきた者としては、現状のブームはそれほど長続きするものだとは思えません。そこで、この連載では数回に分けて、ソーシャルメディアが抱えている本質的な問題点を指摘するとともに、単なるブームに終わらせないためには、どのような方向に進化させていく必要があるのかについてお話ししようと思います。

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武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア (矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリン支局、大阪支局開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、第6刷のロングセラーに。JFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」の司会進行役を務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、エイベック研究所の代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

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