11
米国ではメモリアルデー絡みの三連休のため、郊外の観光地には人とクルマがいっぱい。写真はバークレーから1時間ほどのスノルという場所です

 米国は5月29日のメモリアルデーが休日であったため、三連休だった人も多かったようです。最終日に当たる月曜日は、ショッピングやレジャー施設、どこもかしこも人とクルマでいっぱいという状況でした。

 本連載でも過去にご紹介した果樹園つかみ取りの街、ブレントウッド。バークレーから北東へ1時間ほどの位置にあるこの街は、ちょうどサクランボとモモの季節になりました。

 日曜日に行ってみると、1つの農園の前が大渋滞……。きっとテレビか何かで紹介されたのでしょう。そこから1ブロック(といっても1km以上)いったところにある農園は、さほど混んでなく、完熟のアメリカンチェリーが鈴なりでした。

 つかみ取りができるこの農園は、中で食べる分はカウントされず、バケツに取った果実は全部支払ってねというシステム。口のまわりが真っ赤になるまで堪能したあとで、2kgのアメリカンチェリーを11ドルで買って帰ってきました。

 そして月曜日は、今度はバークレーから南に1時間ほど走ったところにあるスノルという場所へ。清流に入ったり、「リトルヨセミテ」と呼ばれる岩場までの緩やかなトレッキングが楽しめる、お気に入りのリージョナルパークです。

 普段は、若干さみしい、良く言えば穴場感がある場所だったのですが、今日はクルマがびっしり。バーベキューにトレッキングとたくさんの人が公園を楽しんでいました。

米西海岸の郊外では
電波は割と簡単に届かなくなる

 スノル公園エリアは、高速道路の出口を出てから20分ほどの距離にあるのですが、割と早い段階でケータイの電波は届かなくなります。そのため、いくつかの準備をしておく必要がありました。

 まずは地図。スマホの地図アプリは電波が届かないと、その周辺の地図を表示することができず、ナビもできないため、自宅であらかじめ、スノル周辺の地図をアプリにダウンロードしておかなければなりません。

 また、今回は友人と現地で待ち合わせにしたのですが、友人にも圏外であることを伝えて、Googleマップ上の座標地点を目的地に目指してきてもらい、そこで合流しなければ会えなくなってしまいます。着いたら連絡……といっても現地ではお互い圏外であることから、連絡手段がないのです。

 お互い車で動いているため、電波が通じるうちにどの辺にいるかを共有していれば、大体の到着時間はわかるわけですが、今日はとても混んでいて、予定していた駐車スペースに求められなかったため、案の定、探すためにしばらくはグルグルと駐車場を回らなければなりませんでした。

 地図や連絡など、普段スマホで当たり前にできることは、圏外になると途端に使用不可となってしまいます。そもそもスマホやケータイがないころは最初から不可能だったわけで対策自体は取れますが、圏外の世界へと後戻りできなくなっている感覚を再確認しました。

 圏外でも対応できることと、圏外を好まないことは同居しうると思います。前者はテクニックであり、後者は趣向だと思うからです。むしろ圏外を好んで住処を選ぶ方が難しいくらい、日本でも米国でも、ケータイが繋がらないエリアは狭くなってきているわけで、圏外の場所を好むと言っても「毒された現代人」と揶揄されることはもうないでしょう。

基本は一方向のツールのGPSだが

 GPSは対応機器を持っていると、世界中で自分の位置情報をキャッチすることができます。最近日本でも準天頂衛星「みちびき」が打ち上げられ、日本独自の位置情報システムが構築されつつあります。

 ちなみに、iPhone 7やApple Watch Series 2は、日本の「みちびき」をサポートしているそうで、整備が進んでいくことで、日本国内では従来のGPS以上に細かく正確な位置情報の取得が可能になるでしょう。

 GPSは、当然ながら位置情報を知るだけの手段であって、自分のメッセージを誰かに届けることはできません。と書くと、ツッコミが入りそうなのであらかじめ触れておくと、GPSのログで文字や図形を描くことで、メッセージを届けることはできます。が、途方もない計画と時間が必要なので、LINEのように気軽に、というわけには行きません。

 GPSは記録するだけの情報ですが、それでも面白い情報を蓄積することができます。

 たとえば、前述のApple Watchで「ウォーキング」というワークアウトをONにしておくと、iPhoneが圏外であっても、位置情報を取りながら、ウォーキングの距離を正確に計測し、地図上に経路をマッピングしてくれます。

11
スマホでは圏外であってもGPSの機能を用いて、移動したルートを残しておいてくれます

 圏外なので、歩きながら地図を見ることはできず、紙の地図を頼りにトレッキングをすることになりますが、後から振り返ると、地図上に歩いた経路が表示され、どんな地形だったのか、見えていた川や岩が何だったのか調べることができます。

 別にウォーキングのワークアウトをONにしなくても、スマホで写真を撮っておけば、位置情報付きで記録できるので同じことではあるのですが。

点の情報と線の情報

 スマホの写真とワークアウトのログの違いは、点の情報か、線の情報か、ということになります。

 位置情報のことを考えてみると、今このタイミングでどこにいるのかという情報を活用することから始まっています。地図を見る、周辺のお店を探す、自分の居場所を知らせるなどは、いずれも点の位置情報を活用すれば成立します。

 少し補足すると、地図や周囲のお店の情報の表示であれば、点ですらある必要がなく、大まかに「この辺」という「面の位置情報」の方が便利だったりします。実際、地図は面で表示しますし、お店の情報も、徒歩圏内の周囲で見つけてくれた方がヒット件数が増えますしね。

 話が脱線しましたが、線の位置情報は、時間に伴って移動する自分の軌跡を示します。ワークアウトのログは、まさに、過去の線となっている位置情報というわけです。

 我々が普段使っているナビは、意外と高度かもしれません。線の位置情報ですが、我々がこれから向かう未来の位置情報を示しているからです。

線上の未来で、何が起きるか

 未来の位置情報が活用されている最も身近なサービスは、天気予報でしょう。低気圧や高気圧、前線、台風などが3時間後、6時間後、24時間後にどの位置にあるかを把握し、その下で起きうる気象現象を伝えてくれていることになります。

 しかし、どんなに精度が高い観測と数値予報を持ってしても、完璧な天気予報は存在していません。様々な変数を細く仕切れていないからであって、サイエンスの世界でも、未来の予測にはまだ、不確実性が残ります。

 それに比べれば、人の未来は天気よりも簡単なのかもしれません。たとえばUberは米国では「Uber Pool」という相乗りサービスを展開しています。今までの話からすれば、該当するクルマの未来の位置情報たる予想ルートと、車に乗りたいという人のリクエスト地点のマッチングして実現しています。

 雨雲と違って、人は移動したいという意志があってUber Poolをアプリから呼んでいますから、未来のルート上でその人を拾う確実性は、天気予報よりもよっぽど高い確率で実現します。

 どんな世界でもそうかもしれませんが、その人、あるいは集団などの「意志を持つ未来」をつかむことは、重要なことといえるでしょう。おそらく人工知能はそれをすでに見出すところまで、データを蓄積しているのではないでしょうか。