[東京 2日 ロイター] - 三井物産<8031.T>の加藤広之副社長は1日、ロイターのインタビューに応じ、液化天然ガス(LNG)のスポット取引拡大に合わせて、トレーディング部門を強化する方針を明らかにした。

従来は買い手と売り手が原油連動価格による長期契約を結ぶのが中心だったが、供給増加によりスポット取引が拡大しつつある。

加藤副社長はLNGのスポット取引が「増える傾向にある」との認識を示した上で「LNG部隊を拡充する方向でやっていく。LNGトレーディングにも注力していきたい」と語った。

同社は現在、「三井エナジー・トレーディング・シンガポール」(METS)に数人のLNGトレーダーを抱えているが、「今後数年で増やしていく」方針だ。

<「爆食」はLNGでも>

石炭や石油に比べ環境負荷が低いLNGは世界的に需要の拡大が見込まれる一方、今後数年は北米や豪州での生産拡大で供給過剰が予想されている。

同社の2017年3月期のLNG取り扱い実績は280万トン。2018年に米東海岸のLNG液化・輸出プロジェクト、キャメロンが稼動すれば400万トン増える。一方、2017年3月期に約500万トンだった持分生産能力も2020年3月期に約900万トンまで引き上げる計画だ。

加藤副社長は「中国の『爆食』が鉄鉱石ビジネスを大きくしたが、同じようなことがLNGの世界でも、中国、東南アジア、インドで起こるだろう」と予想。「中国は現在、石炭を中心としたエネルギーだが、5%をガスに転換するだけでLNG換算で年8000万トン、日本の年間輸入量に匹敵する規模の市場ができる」と述べ、市場の拡大に期待感を示した。

<資源・エネ投資は既存・パイプライン案件へ>

同社は2020年3月期までの3カ年中期経営計画で1.7─1.9兆円の投資を計画しており、この3分の1に当たる約6000億円を金属資源・エネルギーに振り向ける予定だ。

加藤副社長は投資先について「既存アセットの競争力、良質化を図ると同時に、パイプラインにある開発中の案件をきっちりとやっていく」と説明、新規投資よりも既存事業の強化と開発案件の立ち上げに充てる方針を示した。約6000億円のうち半分以上はエネルギー案件が対象となる見通しだ。

LNGではモザンビークで最終投資を検討中の新規案件やキャメロンの立ち上げ、ロシアのサハリン2の拡張、原油では昨年度に投資を決めた西豪州沖のグレーター・エンフィールド海底油田や米メキシコ湾の深海鉱区カイキアスなどを「低コストで開発していく」と語った。

<鉄鉱石の需給タイト化は2021年以降に>

足元で価格が下げ足を速めている鉄鉱石については、1)資源メジャーの供給力拡張が2019年ごろに終わる、2)競争力のない山が徐々に淘汰される、3)中国の粗鋼生産が2025年まで伸びる──との前提で「2021─22年に需給が引き締まってくる」との見通しを示した。

加藤副社長は「いまは下がり局面で若干オーバーシュート気味だと思っているが、また上がるだろう」と語った。

鉄鉱石価格は2月に90ドル超と2年半ぶりの高値をつけたが、足元では60ドルを割り込んでいる。「基本的には現在の価格でも十分利益が出せる」が、競争力強化のため、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)などを活用し、さらなるコスト削減を図る方針だ。

(大林優香 志田義寧)