[ニューヨーク 1日 ロイター] - 米携帯電話サービス大手のTモバイルUS<TMUS.O>が、ネットワークを拡充するため積極的に投資している。同社は従来、主要都市を外れると電波のカバーが薄いとされていたが、現在は米国首位を目指している。

Tモバイルの大規模な投資は2012年に始まった。同社と米通信大手AT&T<T.N>は合併計画を進めていたが、米司法省は11年、この計画が競争を阻害する恐れがあるとして提訴に踏み切った。AT&Tは、規制当局との法廷闘争が長期化するとの見方から、合併を撤回。TモバイルはAT&Tから違約金として30億ドルを受け取った。

この資金を原資としてTモバイルはニューヨーク州からワシントン州に至る各州で無線周波数帯を取得。今年4月に行われた米政府の無線周波数帯入札では、最大投資額となる80億ドルで落札した。同社のネットワークは今年、アリゾナやモンタナ、テキサス、ワイオミングの各州を含む米西部全域で拡充される。

これにより米3位の携帯電話会社であるTモバイルは、少なくともネットワークが全米をカバーするという点では、首位のベライゾン・コニュニケーションズ<VZ.N>とAT&Tに肉迫する態勢にある。

ロンドンを拠点とする調査会社オープンシグナルが2月に発表した調査結果によると、昨年第4・四半期のスピードランキングでTモバイルとベライゾンは同等だった。オープンシグナルは、同社のアプリを使うユーザーのデータに基づいてネットワークの利用状況を調べている。試験者はベライゾンのシグナルを所定時間の88%で確認できた一方、この比率はTモバイルのネットワークでは2%ポイント低かった。

Tモバイルのネビル・レイ最高技術責任者(CTO)は、米国の大部分で早期に同社ネットワークを利用できるようになると主張。同氏は5月、ロイターのインタビューで「当社が、ベライゾンとAT&Tの対応範囲を凌駕せずとも匹敵するまでサービスを展開していくのに、立ちはだかるものは何もない」と述べた。

<多様な戦略的選択肢>

ベライゾンとAT&Tは依然、個人の契約者数では他社を大きく引き離している。契約者数は両社とも、Tモバイルの5500万人の2倍程度であり、利益率も高い。

それでもTモバイルの顧客基盤は着実に拡大している。金融サービス会社バークレイズのデータによると、Tモバイルの個人契約者数のシェアは2012年第1・四半期の10%から17年第1・四半期には18%に上昇した。

さらに、Tモバイルは競合他社と同様、第5世代(5G)通信システムへの対応も進めている。

Tモバイルはネットワークへの投資を続ける一方、多様な戦略的選択肢に開かれた考えで臨むとしている。

同社の幹部はこれまで、ソフトバンク<9984.T>傘下の同業スプリント<S.N>との交渉に興味があると認めている。Tモバイルのブラクストン・カーター最高財務責任者(CFO)は5月、投資家向け会合で、スプリントの周波数帯は「一緒に驚くようなことができる宝の山だ」と述べた。

スプリントの広報担当者はコメントしなかった。

TモバイルのレイCTOは「当社はこの分野で世界のリーダーになりたい」と表明。「それがTモバイルにとっての計画であり、当社にはその能力がある」と語った。