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日本を元気にする新・経営学教室

終身雇用と「モニタリング」
日本企業の成果主義は
なぜうまく機能しないのか
慶應義塾大学ビジネススクール教授 高木晴夫

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],平野光俊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],髙木晴夫
【第23回】 2011年7月11日
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 今回は話を本筋に戻して、終身雇用と「モニタリング」について考えてみよう。この問題は、いまや日本企業でも広く採用されえている成果主義、あるいは個人業績目標制度とも深く関係している。

企業経営の「姿」を映す
モニタリング

 最初に、モニタリングとは何かを簡単に説明しよう。そもそも企業経営というのは、投資家からおカネを集め、そのおカネを原材料や部品、設備といった財、あるいは人件費、広告宣伝費などに「姿」を変えさせて、製品やサービスを提供して利益を生み、その一連の活動を拡大再生産させていくものである。

 そして、経営の責任を担うのが、ガバナンス(企業統治)の視点で言えば、社長に代表される経営層=取締役会だとしよう。企業組織という大きな装置が動いている中で、経営層は投資されたおカネが、いまどのような形に姿を変えて、どのように利益を生んでいるかを知る必要がある。それをモニターとか、モニタリングと呼ぶ。

 おカネがいくら入り、いくら出て行ったか。あるいは、資本と負債がいくらあって、どのように活用されているかを知るために、企業はある活動期間で「しめる」という作業、いわゆる四半期(3ヵ月)ごと、半年ごと、1年ごとに決算を行う。ただし、四半期ごとのの決算でも、その途中でどのような姿になっているかはわからない。その点では、夕方に「しめて」、翌朝には姿が分かっているというのが理想形だ。

 もちろん、ビジネスの変動がそう大きくなく、毎日のモニタリングは必要ないという業種もあるだろうが、それでも変化の速い現代において、半年あるいは年1回の決算でやっていけるというようなビジネスは存在しないだろう。だから、企業経営の中にモニタリングが、装置として備わっていないといけない。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

平野光俊(ひらの みつとし) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1980年早稲田大学商学部卒業、94年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了、98年同大学院博士課程修了、博士(経営学)、2002年から同大学院助教授、2006年から現職。経営行動科学学会会長、日本労務学会常任理事、日本労働研究雑誌編集委員。主著に『日本型人事管理』中央経済社。


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