【導入case2:アビームコンサルティング】
懸案だった「音」のストレスから解放

 専門知識を持つコンサルタントがそれぞれの分野の企業変革を支援しているアビームコンサルティング。多くのコンサルタントは取引先で業務をしているという。そのような状況下、オフィスは情報交換、打ち合わせの場としての活用度が高い。しかし、以前のオフィスでは「音漏れ」の苦情が総務に寄せられることが多々あったという。

アビームコンサルティング
矢野智一・執行役員 プリンシパル プロセス&テクノロジービジネスユニット FMCセクター長

「とくに問題は来客時。当社に相談に来られるお客様は、何らかの問題や新しい取り組みへの支援を求められています。その内容が他社に漏れたら取り返しがつきません」と語るのは、同社の執行役員で、社内の働き方改革を牽引するリーダーの一人である矢野智一氏。

 音の苦情に対し、総務スタッフはロックウールを充填するなど出来る限りの対策を講じたが十分な解決には至らなかった。

 そんな折、オフィス移転が持ち上がった。総務は音漏れ解消をオフィスの重要課題のひとつとして対策を検討。「サウンドマスキングシステム」を知り、ショールームで効果を実感したうえで、新オフィスの応接・会議スペースへの導入を決定した。

「重要なことほど議論が白熱して声が大きくなってしまいますが、サウンドマスキングシステム導入後は、声の大きさを気にすることも不要になりました」

コンサルティングという仕事上、会議室の「音漏れ」は信用問題になるが、顧客からも「議論しやすいオフィス」と好評

 結果、会議室はほぼフル稼働状態にもかかわらず、音漏れに関するクレームはゼロだという。

執務室にも増設し、コミュニケーションを活発化

 会議スペースでの効果を実感した同社は、「サウンドマスキングシステム」をオフィス全体に増設。「サウンドマスキングシステム」のノイズが耳につくのではという疑念もあったが、その心配は不要だった。

「実は、私自身が装置の設置に気づいていませんでした。でも、なぜだかはわからないが、何となく話をしやすい、人が近くで話していても自分の業務に集中できるという感覚はありました」

 フリーアドレスの執務室の各所には、フリーのミーティングスペースも確保している。声漏れを気にせずにいられるため、日常のコミュニケーションもさらに活発化した。

「我々は人が財産の会社ですから、やりがいを持ち、生き生きと充実して働ける働き方を実現する必要があります。オフィス環境はそのファクターのひとつです。お客様先で仕事をするにしても、ちゃんと戻ってこられる場、居心地のよいオフィスがあるからこそ安心して働ける。特に、社員同士が自由にコミュニケーションできる環境を備えることは生産性の向上につながると思います」

 従来から「働きやすい環境づくり」に注力してきた同社。今期からは「ダイバーシティ&インクルージョンイニシアティブ」と「スマートワークイニシアティブ」を柱に、真正面から「働き方改革」を推進している。

「従業員自身の働き方ですから、どう働きたいか個々の声をしっかり聞くことが大事です。それぞれが自分の裁量で自分に合った仕事のやり方を見つけられれば、ベストです。それを実現できる場や仕組みを会社側で作ることが、本当の意味での働き方改革ではないでしょうか」