Zenfone Live
ASUSブースで展示されていたZenFone Live。どれも同じようなスマホというイメージから一歩抜け出す「自撮りなライブ配信に特化したスマートフォン」がメーカーから出てくるのは、ライブ配信の認知が上がった証拠のひとつなのかもしれない

 5月30日(火)から6月3日(土)まで台湾・台北市で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2017」。ASUSブース内では、「ZenFone Live」によるライブストリーミング用のコーナーが会場のメイン通路に面した場所に設けられていました。

 ZenFone Liveと聞くと、ライブ機能の名称であると感じてしまいそうですが、これはASUSのAndroidスマートフォンの商品名です。2017年3月17日に台湾で発売開始。東南アジア圏では手に入れることができますが、残念ながら日本では未発表。

 台湾における販売希望価格は4990台湾ドル(1万8500円前後)の低価格で、どちらかというと初心者向けのいわゆるエントリーモデル。機能は必要最低限。

 ZenFone Liveには「簡単モード」を備えていることから、台北のITモール三創生活園区(Syntrend)を散策していたときには、高齢のご家族が使う初めてのスマートフォンの候補として手に取る姿が見受けられました。

 機能面から考えれば、メインの端末として選ぶものではないかもしれません。でも、ZenFone Liveは単なるエントリーモデルのスマートフォンとしてだけでなく、美顔エフェクトを“リアルタイム”に適用することができる自撮りライブ配信に特化したスマートフォンであることに注目しなければなりません。

 日本と同様、台湾を始めアジア圏の国々でもスマートフォンを目の前に置き、自撮りによるライブストリーミングをする人が若い女性を中心に多いようです。そのことからZenFone Liveは、より美顔に映し出すことができるエフェクトを得意としたライブ配信者を増やすためのASUSの戦略モデルとしての位置づけでもあると感じています。

各種ライブ配信メディアに対応しているので使い勝手◎

Zenfone Live
「美人エフェクトLive」でInstagram Storiesのライブ。エフェクトのレベルが「0」(画像左)のときと「10」(画像右)のときを比べてみると、40代男性のわたしでさえも、エフェクトによって美顔に映し出され、受け取られるイメージもやっぱり変わります(モデルが男性で申し訳ない……)

 リアルタイム美顔の機能は、ZenFone Liveにあるアプリ「美人エフェクトLive(英語名:BeautyLive)」を用いる形で実現します。結論から言ってしまうと「美人エフェクトLive」はとても手軽です。アプリを起動後、0~10までのエフェクトレベルを選択。そして、対応するソーシャルメディア「Facebook Live」「YouTube Live」「Instagram Stories」のいずれかを選ぶと、指定したソーシャルメディアのアプリが連携して起動します。

 美人エフェクトLiveアプリそのものがプラットフォームAPIを通じてライブ配信するのではなく、「Facebook」「YouTube」「Instagram」のアプリを拡張するアドオン的な形で美人エフェクトLiveが機能するという仕組み。

 よって、ライブ配信そのものの機能(配信開始停止など)は連携起動したソーシャルメディアのアプリが担当しますが、それぞれのアプリの画面上に「美人エフェクトLive」のフローティングアクションボタンが重なり、ライブ配信中でもボタンをタップすることでエフェクトのレベルを変更することも可能。細かいことを気にせず、気軽に美顔エフェクトをかけることができます。

 美顔エフェクトはそもそも女性をターゲットとして機能ではありますが、年齢を重ねた男性こそが積極的に使っていくべき機能なのかもしれません。

ナチュラルなエフェクトなので違和感なく使える

Zenfone Live
ASUSブース内のライブストリーミング用のコーナーで、実際にZenFone Liveの美人エフェクトLiveを試させて頂いているときの様子。ライブ配信中、スタッフの皆さんが後ろで賑やかし。ライブ配信の楽しさをスタッフの人もちゃんと理解してくれていて、なんだか嬉しかったのです

 ASUSブース内のライブストリーミング用のコーナーで、実際にZenFone Liveの美人エフェクトLiveをハンズオンしてみて気になった点をまとめてみます。

(1)FacebookやYouTubeだけでなくInstagramのライブ機能にも対応済

 3月に発売された当初、美人エフェクトLiveが対応しているのはFacebookとYouTubeだけでしたが、現在はInstagram Storiesでも使えるようになりました。Instagramは、日本に限らず海外でも若い世代の人達に人気なソーシャルメディアのひとつですから、配信できるライブストリーミングの選択肢が増えているのは歓迎すべきところ。今後も対応するソーシャルメディアが増えていくことに期待をしたいですね。

 先にも挙げた通り、美人エフェクトLiveはアドオン的な動作で機能するものですから、もしかしたら他のライブ配信メディアへの対応も比較的容易なのかもしれません。対応するサービスの選択肢がもっと増えていけば、ライブ配信でもこうした美顔エフェクトを使うことが当たり前のようになっていく文化が生まれてきそうと感じています。

(2)美顔エフェクトはZenFone Liveに内蔵カメラアプリより自然

 ZenFone Liveに内蔵されている「カメラ」アプリでも美人エフェクトの機能があります。しかし、「カメラ」アプリで適用できる美人エフェクトは正直なところできあがりの画像が少し不自然な(エフェクトが強すぎる)印象を受けます。

 一方、美人エフェクトLiveで適用できるのは、「カメラ」アプリのエフェクトと比べて、やや強めにかけても自然な印象を受けます。エフェクトに不自然さがあると使うことにためらいを感じ、使わなくなってしまうことがありますが、これであれば「美人エフェクトLive」を使ったライブ配信を積極的にできそうです。

(3)左右反転のままでライブされることに注意が必要

 スマートフォンからライブ配信ができるアプリのほとんどは、配信者側のプレビューは左右反転で、視聴者側には正転(左右反転が直された状態)で映像が伝わる仕組みとなっているのがほとんどなのですが、「美人エフェクトLive」を通したライブ配信の場合は、左右反転の状態のままで視聴者にも伝わります。

 写真は左右反転を深く気にすることはないのですが、ライブ配信のときに左右反転のままではとても違和感があります。左右反転のままにするか否かをユーザーがアプリ上で選べるようになると、自由度が上がって良いのかもしれません。当面の間は、背景やバックに文字が映り込む場合には、配信者が気をつけることで回避をする必要がありそうです。

ライブ配信のトレンドは「フィルタ・スタンプ」から「美顔」に変わる?

Zenfone Live

 日本で展開するライブ配信メディアのプラットフォームたちは、配信者や視聴者が「ドキドキやワクワクを感じることができるサービスの賑わい」を作り出すために、これまでさまざまな機能を提供してきました。

 ライブ配信メディアの黎明期を作ったUstreamの「ソーシャルストリーム(ソーシャルメディアと連携するチャット機能)」やニコニコ生放送の「投稿されたコメントが視聴画面に流れていく」チャット機能、今ではごく当たり前となったスマートフォン一台で手軽で気軽にライブ配信できる文化の先駆けを作ったツイキャスの「アイテム」機能。さらに、LINE LIVEの「スタンプ」、MixChannel Liveの「カラオケ」、既にサービス終了となってしまいましたがtakusutaの「フィルタ」といったさまざまな機能たちも、ライブメディア元年と呼ばれる2010年からこれまでの約7年間のうちに生まれたもの。

 フィルタでもスタンプでもなく、ライブ配信で美顔エフェクトをリアルタイムで適用できる仕組みは、まだまだ始まったばかり。もし、ASUSのZenFone Liveが日本へ上陸することになったならば、その時にやってくるライブ配信メディアの次のトレンドは「リアルタイム美顔」機能であるのかもしれません。