[6日 ロイター] - <為替> ドルが円に対して過去6週間強で最低の水準に下落した。8日に予定される一連の重要イベントを控えて警戒感が強まる中、米国債利回りが低下したことを受け、ドルを売る動きが強まった。

投資家の間では、8日に行われる英総選挙と欧州中央銀行(ECB)理事会、米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官の議会証言を巡る懸念から、リスクの低い債券などの安全資産を買う動きが広がった。

OANDA(トロント)のシニア通貨アナリスト、アルフォンソ・エスパルサ氏は「8日のイベントを前に不安が強まっているのだと思う」と述べた。またジェフリーズ(ニューヨーク)のマネジングディレクター、ブラッド・ベッチェル氏は「ドル/円を動かしているのはテクニカル分析の節目水準を割り込んだことに加え、安全資産への逃避(の需要)だ」と語った。

5月にトランプ米大統領に解任されたコミー前長官は8日、昨年の米大統領選におけるトランプ陣営とロシアとの関与を巡る捜査をやめるよう圧力があったかどうかについて、上院情報特別委員会で証言する。こうした状況に伴う懸念から市場では、トランプ政権が経済成長を促進する公約を実行する能力に対する疑念が強まり、ドルの重しとなっている。

エスパルサ氏は、8日の議会証言を控えてドル/円が106円まで下げる可能性があると話した。

<債券> 長期債利回りが一時7カ月ぶりの水準に低下した。8日に英総選挙、ECB理事会、トランプ米大統領に解任されたコミー前FBI長官の議会証言と3件の重要なイベントを控え市場は神経質になっており、安全資産としての米国債に買いが入った。

市場関係者は、中国人民元相場が対ドルで安定化するなか中国政府が適切な状況下で米国債保有を増加させる用意があるとブルームバーグが報じたことも米債買いの材料となったとしている。

終盤の取引では2.141%。DRWトレーディングの市場ストラテジスト、ルー・ブライエン氏は、この水準、もしくはこれを下回る水準で取引を終えれば心理的な節目となっている2.0%を試しにいくと指摘。テクニカルな状況に加え「さまざまなリスクイベント」が作用していると述べた。

MUFG(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、ジョン・ハーマン氏は、トランプ氏の財政政策は市場の期待に沿ったものにならない可能性があることから、米10年債利回りが3%台に乗せる公算は小さいと予想。

「民主党がトランプ氏に死に物狂いで対抗し、共和党が主導権をとることに失敗すれば、トランプ政権の財政刺激策はそもそも初めから頓挫する」とし、その場合は「10年債利回りはわれわれのモデルが示すより早い時期に1.30%に向けて低下する」との見方を示した。

<株式> 続落して引けた。解任されたコミー前FBI長官の議会証言や英総選挙など、相場に重大な影響を及ぼす可能性があるイベントが集中する8日を前に、買い手控えムードが広がった。

アベル・ノーザーのアンソニー・コンロイ社長は「8日には多くの材料がある。株式市場がある程度動意づく局面を期待しているのなら、恐らく8日と9日がそうなる」と語り、何が起きても対応できるようにそれまでにポジションを多少軽くしておく必要があるとの見方を示した。

小売りのウォルマート・ストアーズ<WMT.N>は1.7%安。アマゾン・ドット・コム<AMZN.O>が、米政府から社会保障を受けている低所得者にプライム会費の値引きをすると発表し、ウォルマートの顧客層取り込みを狙う姿勢を示したことが影響した。アマゾンは0.8%下げた。

百貨店のメーシーズ<M.N>は、粗利益率の悪化見通しが嫌気されて8.2%下落。つれて他の百貨店株も軒並み売られ、JCペニー<JCP.N>が4.1%、シアーズ<SHLD.O>が2.5%、ノードストローム<JWN.N>は3.6%それぞれ下げた。

<金先物> コミー前FBI長官に対する議会公聴会などを8日に控えて警戒ムードが広がる中、3営業日続伸した。

この日の金相場は早朝から上げ幅を徐々に拡大した。コミー前FBI長官は上院情報特別委員会で8日に開く公聴会で、ロシア政府による米大統領選介入疑惑などについて証言する見通し。トランプ米大統領が疑惑に対する捜査を妨害していたことなどが明らかになれば、政治的混迷が一段と深まるのは必至。このため、投資家の間でリスク回避ムードが広がり、安全資産とされる金に買いが入った。

また、同日には英総選挙も予定されており、欧州情勢に対する先行き不透明感が強まったことから、投資家のリスク選好意欲が後退する中、金には「質への逃避」買いが入ったもようだ。このほか、外国為替市場では米長期金利の低下でドル売り・ユーロ買いが進行。ドル建てで取引される金塊などの商品に割安感が生じたことも相場を押し上げる要因になったとみられる。

<米原油先物> 原油先物相場は、ドル安・ユーロ高の進行に伴う割安感などから買いが入り、反発した。上伸は3営業日ぶり。

サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)など複数のアラブ諸国は前日、過激派組織「イスラム国」(IS)などを支援しているとしてカタールとの外交関係を断絶すると発表。石油輸出国機構(OPEC)に加盟するカタールの産油量は小規模だが、産油国間の足並みの乱れでOPEC主導の協調減産に悪影響が及ぶのではないかとの懸念が広がっていたことから、この日の原油相場も昼前までは弱含みに推移していた。

ただ、外国為替市場では朝方からドル売り・ユーロ買いが進行。ドル建てで取引される原油に割安感が生じたほか、テクニカル要因などによる買い戻しも入ったことから、相場は一気に反転上昇。この日の高値付近で清算値が確定した。クウェートのマールゾウク石油相が6日、カタールは引き続き協調減産に取り組むことを明らかにしたとの報などが相場の下支え要因になったもよう。