[ドバイ 5日 ロイター] - サウジアラビアなどの湾岸諸国がカタールとの国交断絶を発表した。市場関係者の間では、貿易や投資の縮小により、双方に多額の損失が発生し、資金調達コストの上昇にもつながる恐れがあるとの見方が出ている。

カタールには、推定資産3350億ドルの政府系ファンドがあり、経済危機は回避できるとみられる。

港湾施設も新たに拡張しており、液化天然ガス(LNG)の輸出も継続可能だ。4月の貿易収支は27億ドルの黒字だった。

ただ、サウジ、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンは、カタールとの陸海空路の遮断を発表しており、問題が長期化すれば、カタール経済の一部が大きな打撃を受けるとの見方も浮上。5日のカタール株式市場は7%以上急落した。

特に観光産業の中核を担うカタール航空は、業績が圧迫される可能性が高い。

カタールでは、2022年にサッカーのワールドカップが開催される予定。政府は約2000億ドル規模のインフラ投資を計画しており、国内外から資金を調達している。

5日のカタール債は値下がりしており、今後、資金調達コストが上がり、一部のプロジェクトに遅れが生じる可能性もある。

カタール以外の湾岸協力会議(GCC)加盟国の債券は、5日は小動きで推移した。ただ、一部の外国銀行の関係者は、外交上の緊張が長期化すれば、GCC諸国全体の資金調達コストが上昇するリスクがある、と指摘している。

現地に駐在する外国銀行の関係者は「問題が長引けば、大きな影響が出かねない」と指摘。「そうなれば、資産運用会社は、カタールと他のGCC諸国を区別せず、GCCを敬遠するだろう。テロ組織への資金提供など、カタールに法令順守上の問題が浮上すれば、資産運用会社も慎重になる」と述べた。

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GCC諸国は、いずれも石油・ガス輸出への依存度が高く、GCC加盟国間の貿易・投資はもともと少ない。このため、断交が経済に甚大な影響を及ぼす可能性は低いとみられている。

カタールのGCC内の最大の貿易相手国はUAEだが、GCC以外も含めると、5番目の貿易相手国にすぎない。

カタール株式市場で取引する他のGCC諸国の投資家も、全体の5━10%。すべての投資家が資金を引き揚げても、甚大な影響は及ばない。

ただ、カタール経済の一部の分野では、コストが上昇する可能性が高い。

同国は、乳製品などを中心に、サウジとUAEから食糧を輸入している。2015年の食料輸入額は10億5000万ドルで、うち3億0900万ドルをサウジとUAEが供給した。多くの商品はサウジから陸路で輸入されており、カタールは代わりの調達先を探す必要がある。

建設コストが上昇し、インフレが進行するリスクもある。アルミなどの建材を陸路で輸入できなくなるためだ。

サウジ、UAE、バーレーンは2014年に8カ月間、駐カタール大使を召還させたことがあるが、このときは往来が遮断されなかったため、市場や経済への影響は最小限に抑えられた。

カタールとの断交でサウジに協調する動きがどこまで広がるかは不透明だが、サウジが海外企業に対して、カタール市場と広大なサウジ市場の二者択一を迫る可能性はある。

カイロの銀行関係者によると、一部のエジプトの銀行はすでにカタールの銀行との取引を停止した。GCC諸国が追随するかは不明だが、UAEの銀行関係者はロイターに対し、中央銀行の指針を待っていると語った。

ドバイなど一部のGCC諸国の株式市場も、カタールほどではないが、5日に下落しており、域内の投資家の間に不安が広がっている可能性がある。

アブダビのNBADセキュリティーズの幹部は「総合的にみると、好ましくない。この地域の周辺は混乱続きだ。誰か賢明な人間が介入して、沈静化を図ってくれれればいいが、現実には緩やかにエスカレートしている」と述べた。