[サンフランシスコ 5日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>は5日の世界開発者会議(WWDC)で、「アップルTV」でアマゾン・ドットコム<AMZN.O>が提供するアマゾン・プライム・ビデオのコンテンツを視聴できるようにすると発表した。今回の提携からは、シリコンバレーの巨人たちが消費者の取り込みを巡り厳しい競争を繰り広げている様子が読み取れる。

アップルTVでアマゾン・プライム・ビデオのコンテンツが視聴可能になるというのは明らかに理に適っている。

アップルは視聴用機器を売るために、優れたコンテンツが欠かせない。一方のアマゾンは番組を配信する媒体を必要としている。視聴者は番組を見るためにプライムの会員となり、商品の販売も増えるだろう。視聴者からすれば、どんな機器であろうとも好きな番組が見られればよい。

5日の発表は、少なくとも2015年までさかのぼる交渉の結果だ。アマゾンはこの年、サイトでのアップルTVの販売を打ち切った。アマゾンはこうした扱いについて、自社が販売する機器でプライム・ビデオを視聴しようとしている消費者の混乱を避けるためだと説明していた。だが、むしろプライム・ビデオをアップル製の機器に乗せるための交渉戦術だとの見方や、アマゾンのファイヤーTVの購買意欲を刺激するための策だとの声も聞かれた。

調査会社eマーケッターのアナリスト、ポール・バーナ氏は「これらの企業が他社を締め出すときはいつでも消費者がしわ寄せを受ける」と指摘する。

アマゾンとアップルは、両社の仲違いが消費者に与える影響についてコメントを避けている。両社はアマゾンの番組が今年後半にはアップルTVで視聴できるようになると説明しているが、具体的な日程には言及していない。

<消費者の選択を制限>

アップルとアマゾンのつばぜり合いが消費者の選択を制限する例はストリーミングサービスにとどまらない。人気の高いアマゾンのスピーカー型音声アシスタント「エコー」は、アマゾンのアカウントやスポティファイから楽曲を取得できるが、アップルミュージックからはできない。

アマゾンのキンドルのアプリをアップルのiPhone(アイフォーン)で使うと、本を読むことはできるが買うことはできない。本は直接アマゾンのウェブサイトから購入しなければならない。

アマゾンの元従業員によれば、アマゾンは時々、交渉力を発揮するためにビジネス面の利害を逸脱するという。

アマゾンの元マネージャーで現在はマドロナ・ベンチャー・グループ幹部のスコット・ジェイコブソン氏は「そうした取引の結果が将来の対話に影響する可能性がある」と話す。

アナリストは、プライム・ビデオの人気を受けアマゾンが交渉のスタート時点で優位に立ったとみている。プライム・ビデオのコンテンツは今年、3つのオスカーを受けるなど賞を獲得している。ネットを通じた視聴用機器で最大のシェアを持つロクは、プライム・ビデオのコンテンツの視聴が可能で、かつアップルTVよりも価格が安い。

テレビ業界アナリストのアラン・ウォーク氏は「この点はアップルTVにとって大きな弱点だ」と述べた。

アマゾンは再びアップルTVを販売するのかどうかに関してコメントを避けている。