[東京 8日 ロイター] - 経営再建中の東芝<6502.T>は、今月15日にも取締役会を開き、半導体メモリー事業売却への優先交渉先を選定する見通しだ。複数の関係者が明らかにした。

先月19日に締め切った2次入札では米半導体大手ブロードコム<avgo.o>などが応札。官民ファンドの産業革新機構(INCJ)を軸に、東芝と提携する米ウエスタンデジタル(WD)<WDC.O>が合流する日米連合も検討の対象になっているが、金額面で好条件を示すブロードコムが優勢との声も聞かれる。

<革新機構、WDとの調整難航>

2017年3月期で5400億円の債務超過となる見通しの東芝は、財務立て直しを図る目的で、4月1日に分社化して発足させた「東芝メモリ」を売却する入札手続きを進めている。今月28日開催予定の株主総会に向け、今月後半までに売却先を決定するとしている。

同社の買収については、INCJ、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、日本政策投資銀行が「日米連合」を組み、そこにWDが加わる案が検討されてきた。WDは東芝メモリへの過半出資にこだわってきたが、妥協策として少数出資での参加を受け入れるとの姿勢に転じている。

ただ、東芝と同様にメモリー事業を手掛けるWDが買収連合に加わった場合、各国の独占禁止法の審査が長期化する懸念がある。

18年3月期中に東芝メモリの売却を完了し、売却益を捻出することで債務超過を解消したい東芝にとって、独禁法の審査が長期化することは何としても回避したいリスク要因だ。

WD側は、同メモリへの出資比率を2割未満に抑える構えだが、東芝側はそれでも独禁法審査のリスクは払しょくできないとみている。

WDは、スティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が今週にも来日し、東芝側に「解決策を提案」(関係者)する意向だとしているが、会談の日程は未定のままだ。

また、経済産業省の意向を背景に日米連合を組んで東芝メモリ買収を検討してきたINCJは、メーカーを中心に複数の日本企業の出資を募り、「日本連合」を形成した上で米国勢を加えた買収案を模索したが、日本企業からの出資はほとんど望めない情勢だ。

日本企業の自己変革と革新を推進する「オープンイノベーション」が主要な任務のINCJにとって、日本の事業会社が加わらなければ、出資の大義名分が成立せず、買収に積極的には動きにくいとの見方もある。

<ブロードコム、金額面などで有利か>

一方、東芝が「2兆円の価値がある」(綱川智社長)と自己評価する東芝メモリの買収で、ブロードコムは、ハイテクに特化した米投資ファンドのシルバーレイクと連合を組み2.2兆円の買収価格を提示。

事情に詳しい関係者からは「東芝本社にとっては、ブロードコムの提案がもっともよい」との声が聞かれる。

通信関連の半導体などが強いブロードコムは、メモリー事業を手掛けておらず、独禁法関連の審査リスクもWDに比べて低いとみられている点も、東芝にとって好条件といえる。

このほか、台湾の鴻海(ほんはい)精密工業<2317.TW>が子会社シャープ<6753.T>と共同で応札したほか、米投資ファンド、べインキャピタルが韓国の半導体大手SKハイニックス<000660.KS>と組んで応札している。

しかし、経済産業省など日本政府の関係者は、日本の半導体産業をリードしてきた東芝のメモリー事業が韓国や中国などアジア勢の手に落ちることに強く難色を示しており、国家安全保障の観点から鴻海やハイニックへの売却は阻止する構えだ。

*内容を追加して再送します。

(浜田健太郎、山崎牧子、Liana Baker)