医学博士で産業精神医学・宇宙航空精神医学の専門家でもある松崎一葉氏

 次は部下に弁解を許さず攻め上げるクラッシャー上司。揚げ足取りの名人だ。部下は言葉のサンドバッグ状態でボロボロにされてしまう。さらにクラッシャー行為は社内だけで終わらない。

「部下が服従すると機嫌が良くなって、仕事あとに部下を連れて自分の顔が利くちょっといい店に連れていき、グルメ漫画で得た程度の薄いうんちくと自慢話をえんえんと語ります。これは彼らの自己承認欲求が強いせいで、それを満たすための行為です。先日聞いた話では土日もクラッシャー上司の趣味の釣りにつきあわされることもあるそうです」(松崎氏)

 モンスターはなぜ生まれるのか? 例えば松崎氏の著書に登場する、X氏というクラッシャー上司は、エリート中のエリートだが、部下が失敗でもしようものなら自室で2時間は説教、反論すれば論破しコテンパン。そのくせ部下の手柄は自分のものにし、うつで休職すれば「うつなんてないんだよ!」と吐き捨てる気分屋。最悪最強のクラッシャー上司だ。松崎氏はこの上司の生い立ちをヒアリングしている。

 X氏は、幼少時から友人と遊ぶことなく勉強に励み、成績を上げたときでも父親から褒められたことは一度もなく、それどころか、厳しい言葉が返ってきたという。これでは部下を褒めることはできない。

 そして、大学入試で本来の志望校に入れなかった挫折感を虚勢で補い、自分の中で下がってしまった自己評価をモンスター行為で補っていたのだ。X氏は結局、途中で面談に応じることをやめてしまったという。